元美容師が語る「髪質改善」施術の裏側【後編】

髪質改善トリートメント、セルフ可能? サロンによって施術が違う?【元美容師が徹底解説】

2023/11/12 11:00
AKKO(ライター)
写真ACより

 近頃、よく見聞きする「髪質改善」という言葉。前回、サイゾーウーマンでは「ドラスト・ヘア用品レビュー」を担当している元美容師のAKKOさんに、施術内容や得られる効果について解説してもらいました。

 引き続き、後編では施術を受ける際の注意点やサロン選びのポイントについてアドバイスいただきます。

★前編はコチラ

【目次】
髪質改善トリートメントで髪が痛む?
髪質改善トリートメント、セルフで可能?
髪質改善の施術をサロンで受ける上での注意点
 ・サロンの選び方

髪質改善トリートメントで髪が痛む?

 髪質改善トリートメントについて、某口コミサイトで「施術を受けたらかえって髪が傷んだ」といったコメントを拝見しました。これって一体、どういうことでしょうか……と、気になるところです。

 実は、髪質改善の定義はありません。要するに、現状よりも良い状態となれば、「改善された」と言えるのです。つまり、トリートメント施術をサロンで受けたり、シャンプー後に自分でトリートメントをしただけでも成立します。

 ところが、かえってダメージを被ったともなると、考えられる原因は、熱処理の工程での誤った施術等が挙げられます。例えば、ダメージ部分へ必要以上にアイロンプレスをしたり、アイロンの温度調節を怠った、あるいは薬剤を完全に流し切れておらず熱処理を行ってしまったといった不注意によるものです。

 もしくは、何らかの薬剤が混入されていたとも推測されます。これはあくまで私見ですが、「髪質改善」と謳いクセ毛の改善をアピールしつつ、わずかな薬剤をトッピングしている可能性も否定できません。

 サロンによって考え方はそれぞれなので、事前に美容師へ要望をしっかり伝え、施術によるメリットやデメリットを理解しましょう。求める髪質に向けて適切な施術をしてもらうことで、初めて髪質改善トリートメントの効果が発揮されるといえます。

髪質改善トリートメント、セルフでも可能?

 前述した通り、シャンプー後のトリートメントで、引っかかりがなくなっただけでも髪質が改善したといえます。大概、サロンでトリートメントをするとスチーマーなどの熱処理を行います。熱により、髪の内部まで浸透を促すために行うことが多いものの、実際のところ、トリートメントの種類によっては熱処理が不要で美容師のパフォーマンスを兼ねているという残念な話も漏れ聞こえてきます。

 トリートメントは浸透するまでに時間を要さないものが多く、時間を置きすぎてもトラブルになることはありませんが、だからといってそのぶん効果を得られることは皆無に等しいです。なので、必ずしも熱が必要かというとそうでもないし、ある程度の知識を知っていればセルフでもトライできるでしょう。

 ただ、髪質改善ともなると、通常のトリートメントとは工程が少々異なりますので、サロン同等の施術を自宅でできるかというとそれは困難ですが、市場では大変優れた商品も販売されています。風呂場の蒸気やドライヤーの熱をうまく使って成分を髪の内部に浸透させることが可能な優秀アイテムも存在しますし、バスタイム時に、蒸しタオルパックを導入することで効果をアップさせることもできます。もちろん、継続的な使用が必要ですし、サロンでの髪質改善同様、その後のケアも大切です。

自宅でも髪質を変えることは可能!

 結果的に、美髪を維持するには費用と時間はマスト。定期的な施術を断念するくらいなら、日ごろのセルフケアを怠らず、週に1~2回の自宅でのトリートメントをおすすめします。その際は、シャンプー後、タオルドライをしっかり行い、完全に水気を切りましょう。さらに、ドライの際にはアウトバストリートメントも忘れずに。これだけでも髪質を変えることは可能なので、まずは自分に合ったトリートメントを厳選してみましょう。

髪質改善の施術をサロンで受ける上での注意点

 前編で解説した通り、髪質改善トリートメントでクセを抑えられても、矯正されることはありませんから、クセを兼ねた髪質改善を目的とするならば、縮毛矯正を受けるほうがいいでしょう。また、パーマのような持続性はないので、手入れを怠れば効果は1~2週間しか続かないと思ってください。

 正直なところ、満足した効果を実感できるのは、サロン帰りだけではないでしょうか。サロンでは仕上げにさまざまなスタイリング剤を塗布し、ほぼブローで仕上げます。スタイリストの腕次第でいくらでもツヤを放たせますし、アイロン仕上げ同等のサラサラ感も提供できます。なので、その後の効果を確かめたいのならば、ブロー前のタオルドラ後に、切れ毛の目立ち方やパサつきをチェックをしてみてください。

 また、何度もお伝えしていますが、持続にはホームケアが必須。せっかくの高価なメニューなので、無駄にはしたくないですよね。なお、髪質改善トリートメントはキューティクルが開いているカラーやパーマの施術後がダイレクトに効きますので、併用はおすすめです。最後に放置時間がやたら長い場合、効果は愚か、時間の無駄でしかないので、美容師に終了してもらうよう一声かけましょう。

髪質改善トリートメント、サロンの選び方

 正直なところ、髪質改善トリートメントの基準がないので難しいですね。それぞれのサロンはポリシーを持ってベストなものをお客様に提供していますが、ネット上では様々な意見や見解が見られ何が本当なのか理解に苦しみます。

 ですが、自分の髪のことは長年共にしてきたご自身が一番よく理解しているかと思います。ひとつのサロンに絞らず、いろいろな店をめぐって何がどうちがうのか試してみるのもアリです。また、実際に試した方からの生の声も参考にするのもよいでしょう。当然ながら、価格に見合った結果が出ているかというのがポイントです。

 値段が高けりゃいいというものでもありません、あまりに安くても不安でしょう。もし私だったら、髪質改善に特化しているサロンの情報を収集し、施術にかかる時間や費用を見比べて検討します。

 また、施術の持ちをよくするためにホームケアは必須ですが、その頻度や手間と商品価格も事前に知っておくことをおすすめします。日常生活において、紫外線を避けることは不可能であり、ダメージはつきもの。きれいな髪は誰しもが望むことですが、その要望に真摯に向き合ってくれる良心的なサロンを見つけたいものですね。

 最後に、髪質改善トリートメントとはいえ、短いスパンでの施術は好ましくありません。また、髪のpH値が偏ってしまい髪質が固くなり、パーマやカラーの施術に影響をもたらす可能性もありますから、施術の際には、ある程度のリサーチとスタイリストとのカウンセリングはしっかり行いましょう。

AKKO(ライター)

AKKO(ライター)

山野美容専門学校卒業後、美容師として10年以上現場を経験。およそ2万体近くのヘアーと向き合う。一線を退いた後、成人式や七五三、特殊セットなど、これまで疎遠だったジャンルへ地味に進出する傍ら、2016年にライターへ転身。これまで培った知識や経験を生かしながら、美容情報を発信している。

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最終更新:2023/11/12 11:15
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