インタビュー

原液100%美容液の99.8%は水!? コラーゲンは塗っても食べても効果ナシ! 上原恵理先生が斬る

2020/01/29 21:00
サイゾーウーマン編集部
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上原恵理先生

 雑誌やテレビ番組、インターネットで数多く紹介される“美容法”。その中には、医学的な根拠が証明されていないものや、「むしろ逆効果」というものまで存在しているようだ。
 
 自身のSNSで、ちまたに広がる真偽不明の美容法に“鋭く”切り込み話題になっている、「表参道スキンクリニック」表参道院の医師・上原恵理先生に、5回に分けて“美容法のウワサ”を斬っていただく当連載。第1回目は「育乳」、第2回目は「鼻が高くなる方法」と「小顔マッサージ」、第3回目は「拭き取りメイク落とし」についてうかがった。4回目となる今回は、ドラッグストアやデパートでもよく見かける、ヒアルロン酸やコラーゲン、プラセンタなど保湿成分を配合したスキンケアコスメにまつわる“真実”についてお聞きした。

ヒアルロン酸、コラーゲン、プラセンタの違いとは

――化粧水などを購入する際、ヒアルロン酸やコラーゲン、プラセンタといった言葉をよく見かけます。美肌効果がありそうな成分ですが、実際の効果や違いがいまいちわかりません。

上原恵理先生(以下、上原) ヒアルロン酸もコラーゲンも、肌の張りや弾力を保つ効果がありますが、性質や構造はまったく違います。詳しく説明すると、ヒアルロン酸は水分を含み、水を加えるとゼリー状になる粉ゼラチンのような性質を持っていて、水分を保持して肌の保湿力を高めます。コラーゲンはタンパク質の一種で、細胞が鎖のように連なり、格子状に規則正しく立体的に張り巡らされることから、肌のハリをキープしてくれるんです。たとえるなら、ベッドのスプリングですね。また、プラセンタは動物の胎盤から抽出した成分で、細胞を活性化し代謝を高める効果があると言われています。特定の何かに効くというより、体全体を一段底上げしてくれるような効果があると考えてください。化粧品などに多い豚由来のプラセンタもありますが、一般的なクリニック(医療機関)では、ヒト由来の注射液(ラエンネックorメルスモン)を使用しています。安全性に関しては、厳格な検査を受けていますが、「生物由来製品」には感染症のリスクがあるので、絶対に安全とは言いきれません。

 また、どれも十分な量が存在していれば、赤ちゃんのようにハリのあるみずみずしい肌になりますが、加齢などでヒアルロン酸が減ると肌の水分量が減り、コラーゲンが減ると鎖状の立体構造が破綻して、張りが失われてしまいます。そして、プラセンタは抗酸化作用によって、そうしたコラーゲンのダメージを抑制したり、さまざまな作用があるんです。

――どの成分も美肌に重要ですね。手軽にスキンケアコスメやサプリで補えますか?

上原 残念ながら、無理です。スキンケアコスメに含まれるヒアルロン酸やコラーゲン、プラセンタが肌の奥に浸透することはありません。というのも、皮膚は人間の体を守るバリアの役目をしているので、ウイルスやバクテリアといった微生物や汚れを侵入させないよう、分子量が500~1000以上のものは通さないといわれています。ヒアルロン酸やコラーゲンは分子量が数十万~数百万、プラセンタは数万~数十万と大きいので、どんなに肌の表面から塗り込んでも、角層の奥までは浸透しないんです。

 また、口からこれらの成分を摂った場合ですが、小腸が吸収できる分子量は600、大腸は300くらいなので、せいぜい消化器官で吸収できる“小さい”アミノ酸やブドウ糖に分解されるだけ。ダイレクトに肌へ届くなんて都合のいいことは起こりません。また、コラーゲンの一種で、より分子が細かく、体への吸収性が高いと言われる「コラーゲンペプチド」という成分もありますが、吸収されたペプチドは肌以外にも血液や内臓、髪など全身に行き渡るので、これだけで“美肌”を実感することはまず無理でしょう。効果がほぼないのに、サプリメントや「コラーゲンたっぷり」などと言われるフカヒレに何万円も出すなら、同様に名前が挙がる手羽先など安い食材を食べた方がマシだと思います(笑)。

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