大久保ニューの【美のぬか床】 第17回

マクロビパーティーの“仕切りベジ”なる傲慢女に感じた、野菜でも脱臭できない臭みの元

2014/09/27 19:00

美しくなりたい――世の女たちの狂おしい思いを、「44歳、ゲイ、汚部屋に一人暮らし」の漫画家・大久保ニューが担ぎ込む! 古今東西あらゆる美容法に食らいつき、美を追い求める女の情念まで引きずり出す――

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(C)大久保ニュー

 「最後の晩餐は唐揚げ弁当がいいな☆」というくらい唐揚げを愛している私だが、前回の遺伝子解析の結果で、「ケーキや肉の脂身で太りやすい」とわかり、唐揚げ欲に歯止めがかかった。なんとなく食生活全体を見直す気持ちになっていた。そんなところへ、超絶女子力の持ち主である友人・みーちゃんから「マクロビのランチパーティーに行きませんか?」とのお誘いを受けた。マクロビ料理の専門家が作るスムージーやスウィーツが楽しめるパーティーだそうな。マクロビ……肉類、卵、乳製品を使わない食事療法……もちろん唐揚げは御法度。なんとなく今まで避けていたが、運命的なタイミングを感じ、友人の漫画家である“マリエ姐さん”こと安彦麻理絵さんと一緒に参加することにしてみた。

 パーティー会場である都内某所の高級マンションへ入ると、お姫様の部屋のような広々&豪華な一室に15人ほどのお客さんが集っていた。会費はなんと5,000円……酒も出ないのに5,000円!? 今後の食生活の授業料として、涙目で支払う。軽くフォーマルな装いのお客さんたちは、ランチに5,000円くらい余裕そうな優雅な雰囲気で談笑している。そしていよいよランチタイム。主催者の女性の挨拶が始まると、いきなり全員がスマホで写メりだした。何かと思ったら、みーちゃんが「Facebook用ですね」と教えてくれる。たくさんの「いいね!」を浴びて生きてきたのであろう主催者さんの笑顔は、自信と充実感に満ちあふれていた。聞けば、このお姫様マンションも主催者さんの自宅だとか。そりゃいいね!!

 続いて、スムージー講座が始まった。先生はショートボブが可愛い、ナチュラル系の娘さん。ベアトップのエプロンが「マクロビ界のセンター狙ったる!」との気合に満ちているようで頼もしい。まずはテーブルに置かれているスイカから食べるようにと言われる。え? いきなりデザートから? と思ったら「果物は消化がいいので、先に食べないと胃の中で発酵してしまう」との説明をいただく。へー……と思いつつも、古今東西のデザート文化を否定するような罪悪感を抱く。「特別な栽培法(この後も続出するキーワード)で作られたスイカ」は、もちろんおいしかった。高いスイカの味。遠くの席から「おいしい~☆」と感極まった 声が聞こえると、マリエ姐さんが「出た! 過剰にありがたがる女☆」と喜んでいる。マクロビの教室で、よく見られる光景らしい。まあ、5,000円分の絶頂感はほしいよね。自分で気分を盛り上げてゆく積極性は支持するよ☆

『朝つめるだけ 玄米と野菜の「ゆるマクロビ」弁当』
「野菜ソムリエ」の字面からもう漂ってくるもんね~
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