大久保ニューの【美のぬか床】 第16回

「遺伝子解析ダイエット」で初めて知った、“食っちゃいけない”男と食い物に魅せられる女心

2014/08/30 19:00

美しくなりたい――世の女たちの狂おしい思いを、「44歳、ゲイ、汚部屋に一人暮らし」の漫画家・大久保ニューが担ぎ込む! 古今東西あらゆる美容法に食らいつき、美を追い求める女の情念まで引きずり出す――

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(C)大久保ニュー

 私の両親は2人とも教師だった。どちらも学のある人たちだが、私は頭の良さを何も受け継がなかった。最低な成績で高校を卒業し、いっちょまえに浪人した挙げ句、無試験で入学できる専門学校卒である。遺伝なんて本当にあるのかよ……と言いたくもなるが、ソックリな部分もある。誰かとテレビを一緒に見ていると「何でそんなに怒りながら見るの?」と嫌がられるのだが、これは父のテレビ鑑賞スタイルそのまんまだ。そして、掃除嫌いや買い物好きは、母と同じである。そこに年を取ってから「太り方」という共通点が見つかった。物心ついた時から、両親ともに「スリム」とは言えない体形だった。私はガリガリに痩せていたので「あんな体形が遺伝しなくてよかった☆」と思っていたのだが、中年太りが始まったら、ものの見事に両親に似た体形になってしまった……。遺伝、恐るべし!!

 この負の連鎖を食い止めたい! そんな思いでいるところに「遺伝子を調べて、肥満の原因となる食材がわかる検査」があることをテレビにて知る。早速、担当編集のJ子を引き連れて、恵比寿にある「遺伝子解析ダイエット」を提唱している「d_studio」へと駆け込んでみた。

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遺伝子採取ってこんなに簡単なの?

 d_studioの扉を開けると、スポーティー&オシャレな若人さんたちが迎えてくれた。みなさん健康的な笑顔がまぶしい。こちらでは、遺伝子判定だけでな く、その結果に基づいた食事とサプリの提供、そしてエクササイズを受講することもできるのだ。まさにダイエットの完全集中ケア。とりあえず、遺伝子を採取してもらう。血を抜かれたりするのかと思いきや、長い綿棒を口内の頬の内側に30回程こすりつけるだけ。もちろん何の痛みもなく終了。そして結果は6週間後に届くらしい。あれ、おしまい?

 あまりにも取材として簡単だったので、エクササイズに私とJ子も混ぜていただくことにした。このエクササイズのコースは「男祭り」と呼ばれているという。思わずフンドシ野郎が集合する図を想像してしまったが、普通に男性用のコースだった。セレブ気分が高まるキレイな更衣室でTシャツとハーフパンツに着替え、スタジオに入ってビックリする。ミラーボールが輝くスタジオは、まるでクラブのよう。しかもすごく熱い。って、これはもしや、ホットヨガの悪夢ふたたび!?

 予想通り、これは「ホットステップ」という、室温37℃、湿度70%の室内で行うエクササイズらしい。スタジオには、インストラクターの娘さんが2人と、私と同い年くらいの中年男性が2人。おなかの出た中年たちをモニターから流れるPitbullの曲が包む。かなりシュールな図だ。「まあ、ホットヨガも一 応はクリアできたし、大丈夫だろう」と思っていたら甘かった。最初のウォーミングアップはホットヨガと同じような感じで、まだ周りを見渡して、体の固い中年男性をほくそ笑む余裕があった(もちろん一番固いのは私だったけど)。

『まるでダメ男じゃん!:「トホホ男子」で読む、百年ちょっとの名作23選 (単行本)』
「遺伝子」ってのが女心をガバガバにさせるキラーワード
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