崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』

Netflix『ナルコの神』麻薬王逮捕の瞬間は、ドラマよりも劇的? 実際の事件と異なる点とは

2022/10/21 19:00
崔盛旭(チェ・ソンウク)

『ナルコの神』実際の事件と異なる「牧師」の存在

 ボンヘンは1980年代、遠洋漁船で冷凍技師として働いていたときに、初めてスリナムに足を踏み入れた。たびたび立ち寄っているうちに、現地の事情に精通していき、その後、仕事を辞めて韓国に戻った。そして94年、新築住宅の建築費用を横領する詐欺で指名手配されるとスリナムに高飛び。翌年にはスリナムの国籍を取得し、魚の加工事業を始めた。

 ドラマでは、カン・イングと友人が強烈な臭みのあるエイをタダ同然で仕入れて韓国に輸出する商売をしていたが、これは実際には、ボンヘンの仕事だったことになる。

 しかし、この商売はうまくいかなかった。そこでボンヘンは、次第に麻薬密売に手を染め、当時、南米最大とされたコロンビアの麻薬犯罪組織「カリ・カルテル」と手を結ぶに至る。なお、ドラマでのチョン・ヨハンは表の顔を「牧師」と偽り、さらに強烈な悪役に作られているが、実際は、ボンヘンが牧師を名乗ることはなかった。

 一方、ドラマ内で麻薬王とNIS、さらには中国ギャングの間で立ち回り、超人的なヒーローぶりを発揮するハ・ジョンウ演じるカン・イングのモデルとなった人物は、ドラマ製作後、顔や名前の非公開を条件に、「K」というイニシャルで韓国メディアのインタビューに応じている。

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