崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』

Netflix『ナルコの神』麻薬王逮捕の瞬間は、ドラマよりも劇的? 実際の事件と異なる点とは

2022/10/21 19:00
崔盛旭(チェ・ソンウク)

『ナルコの神』ハ・ジョンウが演じた「K」は、なぜ逮捕作戦に協力した?

 それによれば、Kは貧困家庭で育ち、アルバイトをしながら弟と妹の面倒を見ていたという。さらに、知り合いの女性に片っ端から電話をして求婚、車の整備士として働いた後、友人に誘われてスリナムに出稼ぎに行ったと明かしていた。この経歴は、まさにカン・イングそのものである。

 スリナムで船舶用の溶接棒販売に携わっていたKは、その過程でボンヘンと知り合う。劇中でカン・イングがチョン牧師に助けられたように、Kも販売の際に、ボンヘンに手助けしてもらったそうだ。しかし、代金がほとんど回収されないことを不思議に思って小売業者に確認したところ、ボンヘンに横取りされていたことを知ったという。

 これをきっかけに、Kの友人は韓国に帰ったものの(劇中では殺害される)、泣き寝入りはしないと誓ったKは、藁にもすがる思いで駐ベネズエラ韓国大使館に助けを求めた。これが「麻薬王チョ・ボンヘン逮捕作戦」につながっていく。

 NISは2007年、ボンヘンがスリナムから韓国への麻薬密売ルートを模索しているとの情報を入手し、逮捕に乗り出す。しかし、大使館もなく犯罪人引渡し条約も結んでいないスリナムに伝手を見つけられずにいた。ちょうどそこへKからベネズエラ大使館に連絡があり、NISはすかさずKに接触。ボンヘンの逮捕協力を持ちかけ、Kもその提案を受け入れた。

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