崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』

Netflix『ナルコの神』麻薬王逮捕の瞬間は、ドラマよりも劇的? 実際の事件と異なる点とは

2022/10/21 19:00
崔盛旭(チェ・ソンウク)

韓国の映画やドラマが描き続ける、祖国を離れた人々の姿

 「ディアスポラ(Diaspora)」とは「離散」を意味し、なんらかの形で祖国を離れ、新しい土地に定着して生きる人々を総称する言葉だ。朝鮮戦争後、韓国側の捕虜になった北朝鮮人民軍の中には、韓国ではなく第三国を選んで移住していった者も少なくなかった。そしてその第三国として、ブラジルやアルゼンチンをはじめとする南米の地も選択肢となり、約60人の「反共捕虜」たちが南米に住み着いた。

 同コラムではこれまで、在日や朝鮮族、脱北者を中心にコリアン・ディアスポラのさまざまな在り方を紹介してきたが、まだまだ見つめ直さなければならないコリアン・ディアスポラも数多く存在している。生まれ育った場所を離れなければならない、という朝鮮半島の歴史の傷みを、韓国の映画やドラマはこれからもさまざまな形で描き続けていくだろう。

 さて、2019年より56回にわたって連載してきたコラム「映画で学ぶ、韓国近現代史」は今回で終了します。これまでお付き合いいただきありがとうございました。

崔盛旭(チェ・ソンウク)
1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正 戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻 スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

最終更新:2022/10/21 19:02
世界の小さな国~南北アメリカ~ スリナム/ドミニカ/バハマ/ベリース [DVD](中古品)
胡散臭い人間役、ファン・ジョンミンの右に出る者はいないよ
アクセスランキング