【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

スピリチュアル系アイドル「バイ柴49」500万円集めたクラファンに疑問……嵐、ももクロのスタッフも協力、“参加費100万円”の行方は

2021/03/31 18:30
黒猫ドラネコ(ライター)

 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 2月9日付の「琉球新報」に、3人の女性が取り上げられました。「何歳だってアイドル♪ 平均年齢42歳『バイ柴49』に沖縄から3人 MV(ミュージックビデオ)撮影へ『楽しみたい』」というタイトルで紹介された彼女たちは、「昨年5月、世界各国在住の女性起業家ら49人で結成」したアイドルグループ「バイ柴49」のメンバー。沖縄県を中心に発行されている同紙で、地元出身者がこのグループに入ったと報じられたわけです。Yahoo!ニュースや、LINE NEWSにも配信され、多くの人の目に触れたことでしょう。 
 
 「49(しきゅう)」と聞けば、当コラム読者の皆様はお気付きのことと思いますが、実はこのグループ、メンバー全員が「子宮系女子」です。「子宮系スピリチュアル」として話題になった子宮委員長・八木さやが販売した、スピリチュアル系情報商材「自分ビジネス講座」の受講生たちが、アイドル活動をしているんです。メンバーの中には、「霊視セッション」「股こりケア」といったスピビジネスを、ブログやSNSを通して展開している人もチラホラ。そんな“信者”な方々と知ってか知らずか、メディアが肯定的に情報を広めてしまったのは、大変な事態だと思います。 
 
 なお、琉球新報には“前科”があります。2019年5月、不登校を推奨する自称少年革命家でYouTuberの「ゆたぼん」をいち早く取り上げたのが、同紙でした。なんだかいろいろ勘ぐってしまいますが、単に取材が甘いだけなのか、話題作りのために突き抜けた人々にも寛容なのか……。どちらにしても、もう少し慎重になっていただきたいものです。 

西野亮廣主催のイベント参加、『紅白』出場を狙っていた?

 バイ柴49のプロデューサーは、雅子スチュワートという人物。米国在住で、自身も子宮委員長の大ファンのようです。一昨年末、「八木紗弥佳(八木さや)総理大臣訪米準備会」というイベントを主催した後、八木さや本人を自宅のあるサンディエゴに招待していた雅子氏。そこで「自分ビジネス世界会議」を行い、盛大にもてなしていました。そんな雅子氏、本人のブログによれば、肩書は「マリッジ・ファミリーセラピスト」で「コスミックコーチ」とのこと。自己紹介文は「地球のアセンションに向けて人類のアセンションの為にも波動を上げていきましょう」と結ばれています。……はい、もう“察した”かと思います。 
 
 雅子氏のブログをさかのぼっていくと、昨年春ごろに「参加費2万3,000円」でバイ柴49のメンバー募集をしていることが確認できます。まずは、キングコング・西野亮廣さん主催のイベント「天才万博」への出演をもくろんでいたこともわかり、『NHK紅白歌合戦』に出たいという野望もつづられていました。また、メンバーも参加するZOOM会議を有料で公開し、バイ柴49のオリジナルTシャツなどをオンライン販売していたようです。 
 
 プロデュース側に近い人物として、「ロンズーさん」こと瀧澤勉氏の名前も頻繁に出てきます。瀧澤氏は元コンサルタント、起業家養成セミナー講師でもあった男性で、八木さやの「自分ビジネス講座」の運営にも関わっていました(現在は、八木さやからこの講座を譲り受け、販売を任されていることもわかっています)。

 こうしてひもといていくと、子宮委員長・八木さやから信頼の厚い雅子氏と瀧澤氏が、参加費を取りつつ子宮委員長のファンを集め、「何歳だってアイドル」という斬新なコンセプトを掲げつつ、グループ結成の軌跡などを見せながら、アイドルビジネスを仕掛けた、という構図が見えてくるのではないでしょうか。 
 
 バイ柴49はアイドルグループとはいえ、今のところ、CDを発売するなどの商業展開はしていませんが、琉球新報が伝えていた通り、MV撮影は行っています。その資金をクラウドファンディングで集めており、募集サイトには「子育てをしながら、仕事をしながら、いつか、アイドルになりたかったという少女の頃の夢を実現していこうとしている熟女のアイドルグループ」「たった1回のステージを体験して解散するという前提で立ち上げました」などと、グループの紹介が書かれています。このように「夢」をかなえ、それに刹那的な意味付けがあるあたり、アイドル好きやスピ好きな人のツボをおさえているな、と感心してしまいます。
 

えんとつ町のプペル
この界隈、少し歩けば必ず西野にぶつかるじゃん
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