【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

悠仁さまはどうなる? 昭和天皇から今上天皇まで授けられた「帝王学」と、秋篠宮家の考える教育の現在

2022/05/07 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます! 

秋篠宮家の教育方針に注目が集まる(C)gettyimages

――昭和までの歴代の陛下と学習院の関係は意外と距離があったとわかり、びっくりしています。一方で、幼い浩宮さま(=現・天皇陛下)が幼稚園に進まれる際、「学習院は長い間皇室のご恩をこうむってきた」と学習院幼稚園を選んでいただくよう、安倍能成院長(当時)がアピールしていたそうですが……。

堀江宏樹氏(以下、堀江) ちなみに、昭和中期までに皇族のお子さま方は幼稚園に行くケースが増えてきていたようですが、皇位を継ぐとみなされるお子さま(※皇太子と呼ばれるのは小学校高学年くらいの年齢で所定の儀式を終えてから)だけは幼稚園には行かず、御所内で特別な教育を受けてから学習院初等科に入学するものだと考えられていました。

――昭和天皇は学習院初等科を卒業後、中等部には進まずに、多岐多様な授業カリキュラムを御所で5人の学友と受け続けたと聞きましたが、その皇子にあたられる現・上皇さま(平成の天皇)は、どんな教育をお受けになったのでしょうか?

堀江 上皇さまは、学習院大学に入学した最初の天皇にあたられます。そもそも学習院大学が発足したのは昭和24年(1949年)で、上皇さまが16歳のときに新設された大学です。ちなみに上皇さまは父宮である昭和天皇とはことなり、学習院の中等科、高等科に通いながら御所で個人授業をうけて「帝王学」を修めることになったといわれています。その講師の一人がアメリカ人女性で、日本では“バイニング夫人”として知られる、エリザベス・J・G・ヴァイニング(Elizabeth Janet Gray Vining)でした。

――アメリカ人から君主のあり方について学ぶというのは斬新ですね!

堀江 昭和天皇がアメリカからやってきた教育施設団に感銘を受け、国際的な視野を持つ将来の天皇を育成したいと考えた末の人選だったといわれています。いちおう名目としては英語の個人授業だったようですが、ヴァイニングは上皇さまに自身の意思を明確にすること。そして、憲法を遵守し、国民とともに存在する近代的な君主像……つまり象徴天皇として生きていくための心構えを、長い立憲君主制の歴史を持つイギリス王室などを例にとって伝えたとされています。

――へー知りませんでした。たしか、イギリス王室のエリザベス2世も、子どもの頃からほかの学科は二の次で、憲法を個人授業で叩き込まれて育ったといわれますよね。

堀江 そうなんです。熱烈な君主主義者の多いイギリスではなく、アメリカ人の女性を教師にすることで、中立的な視野が獲得できると昭和天皇は考えたのかもしれません。ヴァイニングの任期は1年の予定でしたが、彼女は人柄も良いので、学習院中等科の英語教師として大人気となり、足掛け4年あまりの日本滞在となりました。

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