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『24時間テレビ』チャリティーマラソンが波紋? 去年はランナーに「商品券10万円」で物議も

2020/08/22 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 日本テレビが総力を上げて生放送する『24時間テレビ43』。今年は新型コロナウイルスの感染拡大を阻止すべく、「無観客」「キャッシュレス募金」など、例年とは異なるスタイルで実施するが、「走る」企画は健在だ。

 恒例のチャリティーマラソンでは沿道に人だかりが出来てしまうことを懸念し、マラソンは中止となったが、代わって実施されるのが、2000年シドニー五輪女子マラソン金メダリスト・高橋尚子さん発案の「24時間募金ラン」だ。

 「24時間募金ラン」では、高橋さんや他のアスリートや女優で結成された「チームQ」が、安全な私有地で1周5キロのコースを走り、1周走るごとにランナー自身が10万円を募金する。「チームQ」の他の参加者は放送当日に発表する。

 現役時代に多くの方に応援してもらったという高橋さんは、何か恩返しをできないかと考え、このアイデアが浮かんだという。だが、ランナー自ら募金するというシステムの違和感を訴える声もある。

 伊集院光は、パーソナリティを務めるラジオ番組『JUNK 伊集院光・深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)の17日深夜放送回で、24時間テレビを楽しみにしていると前置きした上で、「24時間募金ラン」について、<この企画のバランス、どっかおかしいよね? 謎じゃない?>と疑問を呈した。

<たとえば、“オカネクバルさん”がいて、「私が1周するごとに頑張りに応じてオカネさんが10万円くれる」はわかるが、これ(24時間募金ラン)を走るモチベーションって……? 疲れてへとへとになっちゃった時に「無理しないで、100万円普通にちょうだい!」っていう>
<「私が止まるまでの間、募金を募りますから、私は延々と長時間走りますので、みなさんよかったら私の頑張りに免じて、どんどん寄付してください」なら、何となくわかるけど、「私」が「10万円寄付しちゃう」と、わからなくないか?>

 走れば走るほどランナー自身の出費が増えてしまうのでは、走るモチベーションを保てないのではないか? という伊集院の指摘も分からなくはない。ただ、走ることは罰ゲームでもなんでもなく、「走りたい」「募金もしたい」というランナーが走るのであれば、それは特に問題ではないだろう。

 むしろ『24時間テレビ』ではこれまで、チャリティーを謳いながらも、出演する芸能人たちにギャラが支払われていることへの疑問が度々波紋を広げてきた。

 ギャラの額こそ明かされないが、昨年はリレー方式で実施したチャリティーマラソンのランナーたちが、10万円ぶんの商品券をもらう場面があり、このことへの異論が噴出した。

 放送時間内のゴールは叶わなかったものの、ランナーを務めた近藤春菜、よしこ、水卜麻美アナウンサー、いとうあさこの4人は全員無事に完走。直後に放送された『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)にも出演し、いとう以外の3人が「ご褒美」として商品券10万円(1人当たり2万5千円)を受け取った。

 ネット上では「チャリティー番組なのになぜ」「募金すべきでは?」との疑問が噴出。ちなみに、一昨年に単独でチャリティーランナーを務めたブルゾンちえみは、商品券10万円全額を受け取ったと話していた。チャリティー番組として長年放送されている『24時間テレビ』だけに、視聴者も金銭事情には敏感になるのだろう。

 公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会によれば、集まった寄付金は「福祉」「環境」「災害復興」に使われているという。「福祉」は、福祉車両贈呈・障害者情報保障支援・難聴患者支援・障害者スポーツ支援・身体障害者補助犬普及支援。「環境」は、環境保護活動支援。「災害復興」は、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県や宮城県、福島県への支援のほか、大規模な自然災害に見舞われた地域への「自然災害緊急支援」も行われている。

 『24時間テレビ』の放送が開始した1975年から2019年の42年間の寄付金総額は396億9788万1774円にも上る。昨年の寄付金総額は、歴代2位となる15億5015万8595円だった。ちなみに歴代最高は、東日本大震災が起きた2011年の19億8641万4252円だ。今年は新型コロナウイルスの感染拡大により経済的に困窮している人も多いと予想されており、九州地方で大規模な豪雨による災害も発生した。新しい形式で放送される『24時間テレビ』でどの程度の寄付金が集まるかは未知数だが、寄付をする人たちとしては、出来る限り有効に活用してほしいという思いだろう。

最終更新:2020/08/22 20:00
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