[連載]悪女の履歴書

肥大した大衆の好奇心と芸能マスコミの餌食となった「高島家長男殺害事件」

2013/03/31 19:00
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Photo by Dick Thomas Johnson from Flickr

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 スター一家を襲ったあまりにも痛ましい悲劇――。もちろんマスコミもこの事件を大々的に伝えていった。事件発生直後から高島家には200人を超える報道陣が殺到、空にはヘリコプターも飛び、メディアは家の様子を伝える。大手紙の朝日新聞でも社会面の大半を使い「高島忠夫の坊や殺される」と大々的に報じた。もちろん、ほとんどの主要週刊誌も追随する。

 だが当時の報道をあらためて見ていくと、現在でいうメディアスクラムという面は否めない。そこには未成年であった加害者・美恵への配慮はほとんど感じられない。いや加害者、それどころか被害者遺族である高島夫妻に対する偏見と批判さえ噴出したことだ。スター夫妻の悲劇はマスコミの格好の餌食となっていく。

 犯行当日、夫妻は2階の寝室に、道夫ちゃんは看護婦と一緒に別の部屋で寝ていた。そのことが“アメリカ気取り”などと格好の批判の的となっていく。たまりかねた夫妻は「夫妻の寝室にクーラーを設置したため、冷房は赤子にはよくないとの判断で看護婦と別室で寝せていた」と釈明したほどだ。夫妻が予定していた40日の海外旅行も、「幼子を残して長期間旅行するとは」と眉を顰める向きもあった。

 また「精神のおかしい子。そんな子を雇っていたことは2人の責任」など、美恵を差別的に評した上で、矛先を被害である高島夫妻に転化したようなコメントもあった。さらには「早く次の子を産むように勧めたい」といったあまりに無神経とも思えるコメントを堂々と残した著名人もいた。さらに、高島夫妻がお手伝いである美恵を“家族同様”に遇していたこともまた「お手伝いを勘違いさせた」「優しさがアダに」などの批判の対象とされてしまう。

 事件前、高島家を訪ねた来客の財布から美恵が1万円を抜き取ったことがあったという。しかし、この事態に対応した高島夫妻の態度もまた事件の遠因とされてしまう。美恵の窃盗事件の際、高島夫妻は激しく叱責したというが、その後も解雇することなく美恵を雇い続けたからだ。「この時解雇していれば事件は起こらなかった」という理不尽な論調も見受けられる。さらには、美恵の部屋から大量の劇薬が見つかり、道夫だけでなく一家皆殺しを図っていたのではといった不穏当なものから、従来盗癖があり花代夫人のネックレスも盗んだなど真偽不明の情報が踊ったのだ。

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