“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験、もしお試しの1月校に不合格だったら……経験者が語る「悪夢」のその後

2024/01/10 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)
勉強中の少年の画像
写真ACより

 1月に入り、首都圏では埼玉・千葉の中学受験入試がスタートする。2月1日から始まる東京・神奈川の本命校の入試を前に、1月校でお試し受験をするという受験生も多いだろう。しかし、毎年のように「本命校より偏差値が低い、合格して当たり前の1月校に落ちてしまった!」とパニックになる受験生親子が出てくるのだ。

 まさかの不合格を前にしたとき、受験生親子はどうすべきなのか――サイゾーウーマンで連載コラム「“中学受験”に見る親と子の姿」を執筆する受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこ氏も、自身の息子が「お試し受験に落ちる」という経験をした母親の一人。過去に同連載で、その時の経験談をつづっている。

 1月校に不合格だったという親御さん、「まさかの不合格」に備えたいという親御さんに向けて、今回その記事を再掲する。


“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

「本命校よりはるか下の偏差値なのに……」1月受験に失敗した中学受験生の母、その悪夢の先

初出:2019年1月27日

 中学受験入試もいよいよ最後の砦である東京・神奈川の学校を残すのみとなった。逆の言い方をすれば、東京・神奈川の中学入試本番は2月1日から始まるのだ。しかし、この受験生たちの多くが“1月受験”を経ているという事実を、皆さんはご存じだろうか?

 1月受験とは、業界で言うところの「お試し受験」なのである。これは主に、東京・神奈川の受験生が、1月に実施される埼玉・千葉の入試、あるいは寮を完備している地方校が行う首都圏会場での入試を、本番前に受験することを指す(帰国生入試や千葉の専願入試では12月からスタートするものもある)。

 最近では交通機関の相互乗り入れの発達によって、東京・神奈川の受験生が、千葉・埼玉の学校に進学するケースや、逆に千葉・埼玉の受験生が東京・神奈川の学校に進学するケースも少なくはないので、一概に「お試し」とも言えなくはなってきている背景がある。しかし、やはり依然として、お試しによるメリットを享受したいと考える東京・神奈川の受験生は多いと言えるだろう。

 この「お試しによるメリット」だが、一般的には3つあると考えられている。

1:模試とはまったく違う「受験本番」の空気に触れさせ、慣れさせておく
→いわば、“本気モード”の予行演習である。

2:合格を手にすることで安心感を持たせる
→一つ合格を得ることは、2月1日以降の本命校受験への自信になる。先ほど述べたように、実際に進学する可能性もあるので、「もし本命校に落ちても、入学できる学校がある」という余裕も生まれる。

3:あえて一度、「不合格」という痛い目に遭わせ、本気に火を点ける
→これは男子に多いのだが、「本番」が何たるかをまったく意識せず、模試感覚で舐めてかかるケースがある。そこで事前に、あえて「不合格」をもらって目を覚まさせるために、お試しするというパターンもある。

 こうして受験生は1月校受験に臨むわけだが、例えば、大人気校である埼玉の栄東中学は、毎年1万人弱が受験する。こうなると、試験会場は“人の波”で、さらに本番独特の空気に満ちている。すると、雰囲気に圧倒され、想定外の不合格となってしまう子も出てくるのだ。「3」のように、もともと不合格を想定している受験生は稀で、多くの受験生は不合格にうろたえるであろう。本命校受験までの日数が少ない中、やる気に火を点けるどころか、“不合格の烙印”を背負い込み、本番前に自信を喪失してしまうからだ。1月校受験は、お試しとはいえど、実は相当、覚悟がいる受験なのである。

すべての中学受験生親子が納得いく結果を得られますように
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