仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

瀬戸大也の不調&不倫は「馬淵優佳のせい」? 「オンナが料理をすべき」の思い込みが、“アスリートの妻”に背負わせるモノ

2021/07/30 11:30
仁科友里(ライター)
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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の有名人> 
「完全に白米不足でした」馬淵優佳
「AERA」2021年8月2日号(朝日新聞出版)
 
 私たちは、「自分は人の行動を見て掛け値なしに他人を判断している」と思っている。しかし、実はかなりの確率でバイアスをかけて物を見ているのではないか。

 たとえば「世の中は、お金じゃない」という若者がいたとする。その若者が年収1億円であれば「お金を稼ぐ能力がある上に、お金に振り回されない。若いのに人間ができている」と世間に受け止められるだろうが、心身ともに健康なのに働かない若者が同じことを言ったら「屁理屈はいいから働け!」と批判されるはずだ。また、女性が「女性差別を許さない」と言ったら「当たり前」と思われるが、男性が同じ発言をしたのなら「フラットな考えの持ち主だ」と高く評価されるだろう。社会的条件や性別や置かれた状況による思い込みや先入観から、他人の人となりを勝手に判断してしまう。これがバイアスだといえる。

 世の中には無数にバイアスがあり、その中でも宗教のレベルに達しているのが「オンナが料理をするべき」という思い込みではないだろうか。料理研究家・土井善晴氏は以前から「一汁一菜でよい」と提言しており、7月17日配信の「朝日新聞REライフ.net」では、「共働きで女性も男性と同じように仕事をしているのに、一汁三菜なんてできっこないわけです」「基本は一汁一菜」と発言している。男性の料理研究家という立場の発言だけに、ネット上で大きな共感を呼んでおり、私はこれに時代の「進歩」を感じた。しかし、そういう進歩が一気に引き戻される気がしてならないが、オリンピックだ。

 アスリートは体が資本のため、食事に気を配る必要がある。そこに異論はないが、ここに「オンナが料理をすべき」という思い込みと、「夫(と子ども)を成功させるのは、妻の役目」という日本的な男尊女卑の考えが加わると、「妻の料理次第で夫は成功する」といった盲信が強くなるのではないか。そんな“アスリートの妻”という役割を、今、日本中から一身に背負わされているのは、競泳男子・瀬戸大也選手の妻でタレント・馬淵優佳だと思われる。

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