【連載】わが子から引き離された母たち

義母との関係や夫のDVに耐えられず、子どもを置いてプレハブ小屋へ避難! 28歳で再婚した女性の告白 

2021/07/16 16:00
西牟田靖

娘を抱っこしていて、後ろから蹴りを入れられた

――そこから、なぜ、子どもと別れることになってしまったんですか?

 Bの資金繰り、要は仕事がうまく回ってなかったんです。彼の実家で同居を始めた後、家賃が浮いているはずなのに、督促状が来る。しかも国保が未払いになっていて、保険証が切れてることがわかった。なのに彼は「自営業だから収入は流動的。だから、決まった額を家には入れられない」って開き直るんです。

――筋を通さないんですね。

 義母が息子のお金のなさに気がついて、支払い用のお金を補填するようになりました。なのに、Bはそのお金を全部使っちゃって、義母とケンカするようになったんです。すると義母に言われました。「日中、子どもを預けて、美月さんが働きに行きなさい」と。

――Bさんの意見はどうでしたか?

「おまえが子どもを保育園に預けて、昼間働きに出たりなんかしたら、まるで俺が稼いでないみたいに思われるじゃん」って。

――えっ! 理解できません。

 Bには田舎の見栄があって、周りの知り合いのように、独立して商売をやれるようになったことが、すごくうれしかったみたいなんです。だから、稼いでいるように、周りからは思われたかった。

――もっと正直になればいいのに。

 その間、Bと義母はお金のことでずっとケンカしてるわけですね。私は私でBのお金にだらしない部分に対しての不信感が拭えなかったし、自分で稼いでいないと不安で仕方なかった。そうしたことからズレが生じて、ケンカが増えていきました。

――ケンカがエスカレートしたのですか?

 はい。それでそのうち、Bに殴られるようになりました。また、娘を抱っこしているときに後ろから蹴りを入れられたり、ペットボトルを投げつけられたり、ガラスを割られたり、暴れられたりしました。

――完全にアウトだ。DVですよ、それ。

 だけど、暴力を振るった直後、世の中で一番自分がかわいそうな人っていうぐらい、毎回、Bは反省するんですよ。その気持ちに偽りはない。だから、つい情が惑わされるんですよね。ひとりにさせたらいけないのかな、とか。その都度、ためらってしまって。

――よく耐えましたね。でも、それも限界が来たということですか?

 そうです。何回か繰り返した後、娘が3歳のときのことでした。保育園に入園した直後の日中に、Bとかなり激しいケンカをしたんです。義母は私たち2人がもめたことを知っていました。

――ケンカの後、夜、一緒に食卓を囲みますよね?

 だから私、気持ちが全然落ち着かなくて。「今日もまた、一緒に食卓を囲むなんて、もう耐えられない」と思って、「今日、家を出るから」ってBに言ったんです。

――娘さんを連れていこうとは思わなかった?

 それは無理でした。とりあえずの仮住まいが、建設現場にあるプレハブだったので。

後編へつづく

最終更新:2021/07/18 00:53
子どもを連れて、逃げました。
単なる嫁姑問題ではなかった
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