【連載】わが子から引き離された母たち

「元夫には再婚してほしい」子どもを連れ去られ、共同親権運動を行うシングルマザーが今思うこと

2021/03/30 21:00
西牟田靖

偶然、子どもたちの住む家が目と鼻の先だった

――それ以降、それぞれどこに住んでいたんですか?

 先ほどの弁護士より「社宅の契約を解約する」という書面が来ており、私も子どもたちの通う保育園から歩いて1分のマンションに引っ越しました。子どもと住める十分な広さの住居で──というのも、子どもたちといつでも一緒に住めるようにしておきたかったからです。

 また、本当に偶然ですが、別居後1カ月ほどしてから、実は私の引っ越し先と、子どもたちの住む家が目と鼻の先だったってことがわかったんですよ。私は集合住宅の上の階で、彼と子どもたちは道一本挟んだ向かい側の1階。あまりの偶然に、びっくりしました。

 そんな感じだったので、私は相手を刺激せぬよう、ベランダから子どもたちの様子を見ることができました。子どもたちがマンションの入り口近くまで入ってこようとする様子はありました。すると気がついた彼がやってきて、また子どもたちを両脇に抱えて、走って帰っていきましたけどね。

――連れ去り後の生活は?

 こんなに家が目の前でも、私と子どもは、彼と彼の弁護士の意向により、「月1回3時間 自宅外」という条件でしか会えませんでした。

 一方、元夫のことについては、情報がブロックされているので、はっきりしたことはわかりません。それでも、離婚して以降は残業もせずに定時に帰ったりしていますから、彼は彼なりに真面目に子育てしているようです。まるで私に代わって思い通りの子育てをして、自分自身が理想の母親になりたかったのかな、と。私を排除した家族で、彼は母親から与えられなかったことを、子どもを育てることで補おうとしているのではないかと思っています。

 私は、そんな彼の態度にイラつくんです。私の代わりにキャリアを託した彼が、私から正社員というポジション、家庭や生活、さらに子どもまで奪っているのに、時短勤務制度を利用したりしてるんですよ。あなたはどこまで人から夢と希望を奪えば気が済むんだろうと、思っています。

子どもを連れて、逃げました。
子にとって母は母
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