“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験で「特進選抜コース」合格も、3カ月で落ちこぼれたワケ……「入学前にスマホデビューがいけなかった」

2021/03/14 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

「いい加減にしてくれ!」勉強をしなくなった息子

 亜美さんは夏休み前の保護者面談で、担任の先生からこう言われたそうだ。

「正直、和樹君の成績が今のような状態ならば、進級時に『特進選抜コース』から、別のコースへ移動ということになります。夏休み明けにテストがありますから、それに向かって頑張ってください」

 亜美さんにとっては衝撃の一言だったらしい。

「信じられませんでした。上位での合格に間違いはないはずなのに、入学後たった3カ月で“落ちこぼれ”認定ですから。でも、それ以上にショックだったのは、和樹にいくら勉強を促しても、動かないことでした」

 「もう、『勉強! 勉強!』ってうんざりなんだよ! いい加減にしてくれ!」という和樹君の態度に、亜美さんはため息をつくしかなかったそうだ。

 中高一貫校は成績に厳しい面があるので、ついてこられない生徒への指導も手厚く、放課後や早朝に補習を組んでくれる学校は多い。たとえ、生徒自身が楽しみにしている部活の活動日があったとしても、たいていは補習優先になりやすい。そのことも、和樹君のストレスになっていたのかもしれない。

 結局、和樹君は中2で「特進選抜コース」から「進学コース」に移動となり、現在は新高3直前。亜美さんいわく、和樹君は併設高校には進めたものの、成績が低迷し、浮上できなくなった“深海魚”となり、大学受験が心配される状況という。

「今さらですが、中学受験終了後の親の対応がいけなかったように思います。和樹にとっては、中学受験で第2志望の『特進選抜コース』に受かったことは『目的達成』で、これで一生、勉強から解放されると思ったんでしょう。それなのに、入ってみると、級友たちは入学前から英語学習を進めていたりして、アッという間に差がついてしまいました」

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