刑務所内でのリンチを回避?

児童への性犯罪容疑で逮捕、米カントリー歌手が自殺――ペドフィリアは刑務所でリンチの現実

2020/02/17 18:54
堀川樹里(ライター)

刑務所内のリンチを懸念?

 欧米の刑務所では、児童への性的暴行で有罪になり収監されるペドフィリア(小児性愛者)たちが、ほかの囚人からリンチを受けたり殺害されたりするケースが非常に多い。昨年8月には、フロリダ州のデュバル郡刑務所で「11歳の少女へのわいせつ、性的いたずらなどの罪で終身刑を受けた」デイヴィッド・オゼアス・ラミレス(56)が同房者に殴られた上、便器の中に顔を突っ込まれて溺死。

 昨年10月には、イギリスのフルサットン刑務所で服役していた「ボランティア活動を通じて接触のあった幼児・児童200人近くに対して性的暴行をした容疑がかけられ、うち証拠がある22人への性的暴行で終身刑の判決を受けた」リチャード・ハックル(33)が、何者かに刺されて死亡したと報じられ、大きな話題に。

 今年1月にもカリフォルニア州の薬物乱用治療施設を兼ねた刑務所で、「14歳未満の児童に対する加重性的暴行罪で終身刑を受けた」デヴィッド・ボブ(48)がほかの囚人から暴行を受け、頭部に致命的な傷を負って死亡している。

 米カルチャーサイト「Vice」は15年に、「獄中カーストの最下層は性犯罪者」「ペドフィリアだとバレた瞬間に、ギャングに殺される」「彼らに対してのリンチや殺害に関しては、看守もグルのケースが多い」という特集記事を掲載したが、ペドフィリアたちもそのことを知っているため、逮捕前に自ら命を絶つことが少なくないとされている。昨年8月に、性的人身売買の罪で起訴されていた大富豪ジェフリー・エプスタイン(66)が、収容されていた拘留施設で遺体で発見された時には、「口封じのために自殺に見せかけて殺された説」が流れる一方、「刑務所でリンチされるのを恐れた自殺だろう」と考えた人も多かった。

 アメリカでは未成年に対する性犯罪は厳しく扱われることが多いため、ダニエルも終身刑になる可能性は十分にあった。刑務所で日常的にリンチされたり痛い思いをして殺されるくらいなら、一瞬で死ねる拳銃自殺の道を選んだとしても不思議ではない。とはいえ、ダニエルが自殺したことで、事件の全容が明かされることは極めて困難となったといえよう。事件の被害少女たちが適切な治療や支援を受けられるよう願いたい。

 

堀川樹里(ライター)

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2020/02/17 18:54
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