サイゾーウーマンカルチャーロマンポルノ作品3本をレビュー カルチャー 「生きつづけるロマンポルノ」特別企画 ロマンポルノに描かれた、女の本能的な強さと生き様のリアリティー 2012/05/11 17:00 カルチャー (前編はこちら) ではいったい、どの作品を見ればいいのだろう。私自身も「まだ見たことがないんだけど、何を見たらいい?」と女性たちからよく聞かれる。今回上映される32作品に関しては、どれを見ても間違いはないと思う。 当時の主な観客である男性たちは、おそらく女優を主体とした見方をしていたのだろうが、ここはあえて作品で選んでみたい。個人的好みでは、『(秘)色情めす市場』(田中登監督)、『赫い髪の女』(神代辰巳監督)、『生贄夫人』(小沼勝監督)が鉄板のベスト3。『めす市場』は母娘して売春を生業とする女性の葛藤や苦悩を、大阪の猥雑なドヤ街を舞台に描いている。主演の芹明香は、組織に属さず、嫌な客は足蹴にしてでも自分の意志を貫いて街に佇む。切なくも逞しい女の生き方はいっそ潔さすら感じられる。 『赫い髪の女』は、若いころ見て、暗い映画だなあと思ったのだが、今回改めて見て、実は涙した。宮下順子、石橋蓮司という芸達者なふたりが、行くも引くもできないような男女の結びつきをこれでもかと見せてくれる。女を乱暴することなど何とも思ってなかった肉体労働者の石橋、夫から逃げてきた、ちょっといっちゃったような宮下。このふたりが体の奥深くで求め合い、石橋演じる男は初めて嫉妬を覚えていく。理性的な会話などなくても、ふたりが互いをなくてはならない存在だと認識していく過程が、ひどく切なくて私は泣いた。愛だ恋だと言葉にしているうちは、男女のことなど何もわかってないのかもしれない。全編、降り続く雨がなんともやるせなく、エロスを盛り上げる。 『生贄夫人』(C)日活 『生贄夫人』は、行方不明になっていた夫にある日突然拉致された妻が、夫のさまざまな求めに応じて、ついにはSMの官能に目覚めてしまう物語。花嫁姿で吊される谷ナオミの美しさは圧巻。まさに官能が理性を裏切る過程を余すところなく見せてくれる。縛られてなお、縛られてこそ輝く希有な女優の姿がここにある。 この3本の他にもお勧めはまだまだある。『一条さゆり 濡れた欲情』(神代辰巳監督)は、引退間近の伝説のストリッパー・一条さゆり(本人)と、伊佐山ひろ子演じる、スターを目指す新人ストリッパーとの葛藤が見もの。権力に屈しない伊佐山ひろ子のかっこよさが、女性たちの心を揺さぶる。監督の女性を見つめる目が優しい。 不倫や切ない恋をしている女性に勧めたいのが『ラブホテル』(相米慎二監督)。会社が倒産し、人生に絶望した男が自殺する前に女を買う。彼はラブホテルにやってきた若い女を陵辱するが、彼女の快感の激しさにおののき、そのまま去ってしまう。二年後、彼は彼女に偶然再会する。女は上司との不倫関係が相手の妻や会社にばれて絶望的になっていた。『セーラー服と機関銃』などで有名になり、2001年に早世した相米監督が自ら望んで撮った唯一のロマンポルノ。山口百恵やもんたよしのりの歌が妙に切なく、心に残る。 10日、女子限定ロマンポルノ“予習”イベントが開催された。20代から70代までの女性が終結。『白い指の戯れ』上映後は、映画ライター・久保玲子氏とコラムニスト・辛酸なめ子氏との対談で盛り上がった 女は強い。ロマンポルノを見ていると本当にそう感じる。そしてそんな女の本能的な強さに引きずられて、男たちも生きている。 70年代から80年代にかけて作られた映画だけに、時代性もあるのだろう、ロマンポルノには反体制的な力と、そして明日への希望がある。映画を見たあと、人間って切ないけど、それでもなんとか明るく生きていこうじゃないかという気持ちになれるのだ。心身ともにのめり込める男がいる人も、まだ出会えてない人にも、男女の関係というもの、エロスというものを、もう一度考える機会を与えてくれるはずだ。 女性の性が自由になったと言われる今だからこそ、女性たちが見て心揺さぶられるもの、エロスを理解できるものへとロマンポルノは変貌した。いや、映画自体は変わっていないが、それを深く読み込める女性が増えたのだろう。男のエロスより女のそれのほうがずっと深いと知っているのは、誰よりも女たち自身なのだから。 (亀山早苗) ・ 「生きつづけるロマンポルノ」 5月12日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー (渋谷ユーロスーペースは6月1日まで) 『復活不倫』 女は雄々しく、男は女々しいっていうよね! 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます】 ・結婚も出産もなく更年期を迎える……? 30代の女性監督が描く”女の選択” ・ババアになっても大暴れ! 女は「女」ってだけで、図太く図々しくたくましい! ・セックスレスに遅漏……花津ハナヨ氏に『情熱のアレ』の意図を聞く 最終更新:2013/04/04 00:30 次の記事 h&sのCMで宮沢りえが活躍中 > Facebook Twitter プッシュ通知を受け取る クリックしてプッシュ通知を有効にする クリックしてプッシュ通知を停止する アクセスランキング カルチャー アラフォー婚活、「親が警察に通報された」 アラフォー婚活、クラブで…… AV男優・しみけんがスパッと解答 「女にうまれたこと」を恨む少女たち “行ってはいけない”縁切り神社 アラフォー婚活、相席居酒屋37歳男子コンビ ジャニー喜多川さんのお墓参りガイド DV逮捕の三橋貴明の疑惑強まる アラフォー婚活、無口すぎる34歳デザイナー “行ってはいけない”眉唾パワースポット3選 過激セックスがすごいエロ漫画 アラフォー婚活、「ラブホ行かない?」タップル婚活の男 しいたけ占い人気の裏側 ひと目でテンションが下がったワケ アラフォー婚活、交際希望お断りされた!!! アラフォー婚活、彼が2時間遅刻 羽生結弦、精神科医が読み取る「精神状況と性格」 婚活してる時間がない アラフォー婚活「とりあえずホテルへ行こう」商社マン いきステ社長メッセージを校正者が斬る 総合 【西友】食品スーパーNo.1の可能性あり “皇室ブランド”にあやかる怪しい宣伝 ブランドアンバサダーがピッタリだった男性有名人は? アラフォー婚活、「親が警察に通報された」 春ドラマ初回視聴率TOP10 ミルボンのオイルがおすすめ! 劇場版『名探偵コナン』V3 男性アイドル生写真売り上げ4月ベスト10 エイト、なにわ男子らの楽曲が“パクリ疑惑”払拭 ジュエリーボックスに14万円を費やしたワケ 工藤會、高学歴ヤクザの「仕事」とは 【おもちゃ】片付けやすい収納テク5 ブームから8年、【太陽のトマト麺】はいま? 店舗数増加のスーパー【バロー】 プラマイ岩橋、告発騒動まとめ 【ダイエー】売り場に残る自社ブランド ダイソー・セリア「ワイヤーネット」活用 片付けの「プロが買わない」100均の収納ボックス10選! ダイソーの○○は優秀 『Destiny』TVerお気に入り110万超 夫人の親友が冷たい一言 カルチャーの人気記事 アラフォー婚活、「親が警察に通報された」 アラフォー婚活、クラブで…… AV男優・しみけんがスパッと解答 「女にうまれたこと」を恨む少女たち “行ってはいけない”縁切り神社 カルチャー一覧へ サイ女の精神!過去の人気コラム 中学受験で最難関校合格! 鉄緑会の勧誘をスルー、ゲーム三昧になった息子を「ひたすら待った」6年間 “中学受験”に見る親と子の姿 【プウ美ねえさんのお悩み相談】二浪の息子が大学に出願せず……祖父母への報告に困っています プウ美ねえさんのエプロンメモ 『金スマ』に石田純一登場! なぜ彼は世間から白い目で見られるのか? 仁科友里「女のための有名人深読み週報」 コラム一覧へ