[連載]海外ドラマの向こうガワ【番外編】

エミー賞から見る、次のブレイク海外ドラマはコレだ!

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『マッドメン』シーズン1 DVD-BOX/ポニー
キャニオン

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す! 今回は番外編として、第61回プライムタイム・エミー賞をチェックします。

 アメリカTV界最大の式典である第61回プライムタイム・エミー賞の発表・授賞式が、アメリカ現地時間9月20日ロサンゼルスのノキア・シアターで開催され、2008-09年シーズンに放送された作品の中から各部門の頂点が決定した。

■主要部門の受賞作品は軒並み話題作

 ドラマ・シリーズ部門作品賞と脚本賞に輝いたのは、放送2年目にして連続受賞を成し遂げた『マッドメン』。同作品は、白人男性にとって「古き良き時代」であった1960年代を舞台に、マンハッタン中心部で幅をきかせていた一流広告マンと、彼らを取り巻く女性たちの愛憎あふれるヒューマン・ドラマ。男尊女卑、セクハラ、DVに所かまわず喫煙しまくりと「現代のタブー」満載だった「アメリカの黄金時代」をリアルに再現し、当時のビジネスマンたちのライフスタイルや苦悩をピンポイントで描いていると全米で大絶賛。評論家の高い支持を得たこともあり、マイナーなケーブルチャンネルで放送されているにも関わらず大ヒットした。
(日本では8月にシーズン1のDVDがリリース。10月19日からフジTVでシーズン2が放送)

 同部門主演男優賞を手に入れたのは『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストン。地味に真面目に生きてきた50歳の高校科学教師が、ある日突然「末期の肺ガン」だと診断されるところから物語はスタート。「貯金もないのに、脳性麻痺の長男と妊娠中の妻を残して死ねない」。追い込まれた彼は、残り僅かな人生を自分が持つ科学の知識を駆使して最高級の覚せい剤をつくり、荒稼ぎしようと企む。近年、崖っぷち中年が主人公のドラマ/コメディがブームとなっているが、ジャンルを問わない幅広い演技力が高く評価されているブライアンが2年連続の受賞となった。
(日本ではひかりTVで配信)

 同部門主演女優賞に輝いたのは、こちらも昨年に引き続く受賞となった『ダメージ』のグレン・クローズ。大都会ニューヨークに君臨する女性弁護士の事務所を舞台に、現実社会や法律のドロドロした黒く汚い部分が渦巻く「脅迫あり」「殺人あり」のサスペンス・ドラマ。法律ドラマだが、裁判所で争うシーンがなく示談交渉がメインであり、精神的な駆け引きが炸裂し双方が心理的にジワジワと追い詰められるスリル満点の作品。ここまでサスペンスあふれる法ドラマはないと高く評価されている。巨額賠償金がかかった難解訴訟しか請け負わない、「理不尽であろうが、時には犠牲になる人が必要」と考える頭脳明細で冷酷なカリスマ女性弁護士を、アカデミー賞に5回ノミネートされているグレン・クローズが熱演し、文句なしの受賞となった。
(日本では昨年9月にシーズン1のDVDが、2010年2月にシーズン2のDVDがリリース。10月3日からLaLa TVでシーズン1が放送)

お馴染みの作品も受賞

 また、助演男優賞は、超常現象が起こる不気味な無人島で精神的に肉体的に追い込まれたサバイバーたちが繰り広げる新感覚ドラマ『LOST』のヒール役としてブレイクしたマイケル・エマーソンが待望の受賞を果たし、助演女優賞は、放送開始と同時に爆発的人気となったリアルタイム・ドラマ『24』シーズン7で女性大統領役を演じているチェリー・ジョーンズが獲得。

 監督賞には、1994年から15年にわたり全米で放送され今年4月に幕を閉じたメガヒット医療ドラマ『ER 緊急救命室』の最終話「And In The End…」を監督したロッド・ホルコムが受賞している。

 コメディ・シリーズ部門作品賞、脚本賞に輝いたのは、大本命であった『30 Rock』。

 米三大ネットワークの一つ、NBCで放送されている「架空の」人気深夜バラエティの裏舞台を描いたコメディで、主要キャラは「バリキャリだけれど私生活は惨めな女性脚本家」「自分大好き勘違いな年増女優」「精神的にイッているけど最高級な芸人」「GMに全てを捧げるワンマン過ぎてかなり痛い上司」と、分かりやすい設定であり、アメリカ人が大好きな時事的なギャグを炸裂させ爆発的なヒットとなった。放送コードすれすれなギャグや自傷ギャグなども多く、シーズン3も高視聴率をマークした。主演男優賞も『30 Rock』で油ぎるエネルギッシュなボスを演じるアレック・ボールドウィンが2年連続受賞している。

 同部門主演女優賞に輝いたのは、『United States of Tara』で主人公を演じているトニ・コレット。

 『JUNO/ジュノ』を手がけたディアブロ・コーディが脚本を、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を勤めていることから前評判が上々であった本作品は、校外に住む平凡な主婦で「多重人格障害者」であるタラが、家族を巻き込みながら過ごす日常を描いたもの。男性やイギリス人などを含む4人のキャラクターを熱演するトニの演技力の高さが大絶賛され、見事受賞した。

 助演男優賞には、シングルライフを楽しむ「お気楽な兄」のもとに、離婚ホヤホヤな「神経質な弟」が10歳の息子を連れて転がり込み、衝突しながら共同生活をおくるというファミリー・シットコム『チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ』で弟を演じるジョン・クライヤーが念願の受賞を果たし、助演女優賞には「悲しい条件のもと」死者を蘇らせる能力を持つ主人公を精神的にサポートする役を『プッシングデイジー ~恋するパイメーカー~』で演じているクリスティン・チェノウェスが獲得。

 監督賞には、郊外の平凡なオフィスを舞台に社員たちが繰り広げるドラマをホームビデオ・チックに撮影し大ヒットしたUS版『The Office』で、スティーヴ・カレル演じる支店長がKYぶりを大発揮するエピソード「Stress Relief」を監督したジェフリー・ブリッツが受賞している。

 全体的にみると、ノミネート、受賞共に昨年とあまり変わりないといった印象を受けるが、ケーブルテレビで放送されている作品が多いのが目立った特徴だといえよう。公式サイトやiTuneでエピソードを配信している局も少なくなく、五大ネットワークにこだわらなくても、クオリティの高い作品ならばメジャーな賞が獲得できる世の中になったのだ。

 日本でも視聴できる海外ドラマは多いので、受賞作品はぜひチェックしてもらいたい。特に『マッドメン』『ダメージ』にはハマること間違いなしだ。

『マッドメン』シーズン1 DVD-BOX

ポジティブが売りのアメリカ人も、過去の栄光にすがりはじめたようです

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