仁科友里「女のための有名人深読み週報」

井戸田潤、安達祐実との“結婚失敗”から考える、娘婿と義母がうまくいかない理由

2024/02/16 12:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

スピードワゴン・井戸田潤の画像
安達祐実の母についてついに口を開いた井戸田潤(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「結婚して2年、まだおかん、同じマンションに住み着いてはる」大倉士門
『踊る!さんま御殿!!』(2月13日、日本テレビ系)

目次

・親の援助でうまくいく夫婦といかない夫婦
・みちょぱの夫が愚痴る“義母”の存在
・井戸田潤、安達祐実との結婚が失敗した理由
・みちょぱの夫と母も揉めそう?

背後に親がいる結婚生活が当たり前になる?

 「オヤカク」という言葉をつい最近知った。これは就活用語で、内定を得ていることを親に報告したか、親はどう受け止めているかを確認することだそうだ。学生本人が「ここの会社に入りたい」と思っても、親がダメと言えば諦めてしまう学生も多いという。内定辞退者を減らすために、企業が編み出した苦肉の策だそうだ。

 これまでは、就職したら一人前、親は子どもを見守るしかないというスタンスが一般的だったものの、最近では入社式に親を参加させる企業も増えてきており、親との精神的な距離が近いまま、社会人になる子どもは少なくないのだろう。

 若者は恋愛や結婚をしないとよく聞くが、個人的には、親との関係も一因ではないかと思っている。恋愛や結婚は、親への反発から“親以外の理解者”を探すという一面、生まれ育った家庭からの離脱という一面がある。その観点でいえば、親との関係が満ち足りていると、恋人や結婚相手を探す必要はないということにもなり得る。

 こういう時代だからこそ、これからの婚活は「親と子で一緒に探す」方向にシフトしていくし、背後に親がいる結婚生活が当たり前になっていくと予想する。共働きが当たり前の時代、子育てを手伝ってくれる親がそばにいたら、若夫婦は助かるだろう。しかし、親の援助があることで、夫婦がうまくいかなくなる場合もある。その両方のケースをうまく示していたのが、2月13日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)だった。

みちょぱの夫が愚痴る“義母”の存在――杉浦太陽は「お母さんがいたほうが絶対ラク」

 同放送は「気遣い夫VSダメ出し妻 夫婦のすれ違い解消SP」と題し、ゲストが関連するエピソードを紹介していく。みちょぱの夫であるタレント・大倉士門は「みちょぱと7年付き合って、結婚して2年。その間にみちょぱは5回くらい引っ越しをしているわけですよ。その5回くらい引っ越した家全部にお母さんがついてくる」と嘆く。といっても、みちょぱの母親は同居しているわけではなく、みちょぱと同じタイミングで、同じマンションの別の部屋に引っ越すそうだ。

 今は事情が変わったのかもしれないが、2020年放送の『しゃべくり007』(日本テレビ系)では、みちょぱの母親は、娘の付き人として働き、ギャラも管理していると話していたから、同じマンションのほうが仕事をするにも便利なのだろう。同じ部屋に住まないことから、みちょぱの母親の気遣いを感じるが、大倉は「結婚して2年、まだおかん、同じマンションに住み着いてはる」と漏らしており、煙たがっていることが窺える。

 しかし、同番組のゲストたちは、みちょぱと母の密着は、歓迎すべきことだと言う。中でもタレント・杉浦太陽は、「お母さんがいたほうが絶対ラク」と断言。というのも、妻である辻希美と3年くらい都心に住んでいたときはケンカが絶えなかったが、辻の実家のそばに引っ越したところ、ケンカが減ったのだそうだ。おそらく、子育てを手伝ってもらったり、日常的な会話を交わすことで辻のストレスが緩和されたからではないだろうか。

 しかし、大倉は納得しない。今後、子どもが生まれたときに、自分の母親にも面倒を見てもらいたいのに、このままでは孫にとってのおばあちゃんは、みちょぱの母だけになってしまうことを危惧しているようだ。みちょぱの母に手伝ってもらいたくないなら、大倉本人が子育てを全部やるしかないのでは? と思うが、そういった実務面については考えていないように見えた。

井戸田潤、安達祐実との結婚が失敗した理由は“義母”にあり

 今回の放送のように「夫VS妻」というような対立構造の形を取るバラエテイ番組では、夫同士、妻同士で味方をし合って番組を盛り上げるものだが、大倉の発言にスピードワゴン・井戸田潤は「それ言ったら、おしまいだよ」「義理のお母さんの言うことは絶対だよ」と諭し、杉浦、中山秀征も「間違いない」と同調。特に、井戸田は「前回、それで失敗したから」と安達祐実との結婚を振り返った。

 杉浦のように義母を受け入れてうまくいく家庭もあれば、井戸田のようにうまくいかない家庭もある。それは、義母のキャラと夫が「オトコの沽券」にどこまでこだわるかによって変わってくるのではないだろうか。

 2歳から芸能の仕事をしている安達。お母さんはステージママとして知られ、自身もヘアヌード写真集を出すなど、自分が前に出たいタイプのように見えるが、彼女は、スターになるという自分が叶えられなかった夢を娘に託したタイプなのかもしれない。わが子を芸能界で活動させるというのは、いろいろな苦労もあったはずだが、娘もその期待に応えてスターになった。

 こういうパターンの場合、自分と娘の“境界”がなくなることが珍しくない。それにより、娘の稼いだお金を自分のものと思って使い込んだり、娘の恋愛を禁止したりしてしまうのは往々にしてある。後者に関しては、表向き「娘のため、娘にとってプラスにならない」と言い張るものの、実際は恋愛をして結婚、引退などといわれると、お金が入ってこなくなることを恐れ、避けたいからで、吉永小百合など、昭和のスターも親の呪縛に悩まされていた。

 「娘の活躍は私のおかげ」と信じている母親と相性が悪いのが、オレ様な男ではないだろうか。井戸田は『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「ビンボー芸人VSお金持ち芸人」に出演した際、実父が市議会議員であることから、後援会や学校の校長先生に“ご子息様”と呼ばれていたことを明かしていた。

 自分の才覚一本でやってきた芸能界を代表するステージママと、何かを成し得たわけではないのに、生まれながらに周りに頭を下げられるお坊ちゃん、どう考えても相性はよくないだろう。

みちょぱの夫も井戸田潤に似てプライドが高い?

 大倉にも井戸田と同じようなプライドの高さを感じる。『迷えるとんぼちゃん』(AbemaTV)に出演していた際、「みちょぱの彼氏と言われてしまうことに違和感」「MCになりたい」と発言していたが、これは逆にいうと、自分はみちょぱの下ではないし、MCもできる能力があると思っているということだ。このほかにも、芸人から評価が高いみちょぱのトークスキルについて「自分の真似をしている」と発言するなど、ちょいちょい高い自己評価が見え隠れする。

 自己評価が高いことは悪いことではないが、芸能界のように「結果がすべて」の世界でそれを主張しても意味がないし、プライドが高そうだから「みちょぱの夫」としてヘラヘラするのも難しいのではないだろうか。芸能界で働いているみちょぱの母は、売れっ子に接する機会も多々あるだろうから、余計に娘婿の「足りないところ」に気づいて揉めるなんてこともないとは言い切れない。

 しかし、大倉はラッキーだ。故・橋田壽賀子さんは『おしん』(NHK)などのドラマで、息子という1人の男をめぐって、嫁と姑が戦う姿を描いて高視聴率を記録した。けれど、娘婿と実母が娘を取り合うのが現代流なのかもしれない。このネタであれば「みちょぱの夫」とへりくだる必要もないし、妻の実家依存に悩んでいる人も少なからずいるから、共感を得られるだろう。ぜひこのネタをひっさげ、テレビ界で活躍してほしいものだ。

仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2024/02/16 12:00
橋田壽賀子センセイに娘婿VS義母を書いてほしかったわぁ
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