コラム
彼女が婚外恋愛に走った理由

歌舞伎町のホストと婚外恋愛……経営者の妻が「湯水のごとく金を使った」日々に思うこと

2022/07/18 16:00
いしいのりえ

「今まで働いていた金額の倍以上はもらえるようになりました。結婚して、時間の自由が利かなくなった分、ホスト通いは制限されましたが、それでも10日に一度ペースで、旦那の出張時にはガッツリお金を使っていましたね。高いシャンパンを数回入れると、アフターでホテルに誘われて……初めて彼に抱かれた時は、もう夢のようでした」

 しかし、「今振り返ると、彼とはセックスしてもしなくても、どっちでもよかったのかもしれない」と亜美さん。

「結婚してほぼ専業主婦になってからホストクラブに行っても、全然楽しめなくなったんですよね……。で、気づいたんです。私、人の金でホストに行きたかったんじゃなくて、自分でこれだけ稼いだんだよ、被りに比べると全然安いやつだけど、自分で稼いだお金でシャンパン開けてるんだよって思いたかったというか。そのことを彼に褒めてほしかったんですよ」

 そう気づいた頃から、亜美さんの足は自然とホストクラブから遠のいたという。そんな彼女は現在、ヨガインストラクターとして働いている。

「『インストラクターの資格を取れたよ』って旦那に伝えたとき、すごく喜んでくれて、褒めてもらえたんですよ。私、幼い頃の家庭環境があまりよくなくて……子どもっぽいこと言っちゃって恥ずかしいんですけど、やっぱり私は、働いて自立している自分を褒めてくれる相手を探していたんだなあって。旦那には、数カ月間とはいえ、いただいたお金を湯水のごとくホストに注ぎ込んでしまったことを心の中で謝罪しつつ、こんな私を拾ってくれてありがとうと、感謝しています」

 煌びやかなネオンの中で生きた10年前のことを、「青春でした」と言い切った亜美さんの表情は、穏やかに輝いていた。
(文・イラスト/いしいのりえ)

最終更新:2022/07/18 16:00
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