仁科友里「女のための有名人深読み週報」

なぜデヴィ夫人を起用するのか? 倫理観の低下、ザツな番組づくり……いまこそテレビ局に物申したいこと

2020/10/29 21:00
仁科友里(ライター)

フジ『突然ですが占ってもいいですか?』にも感じる危険な一面

 もう一つ、番組側の倫理観のなさとザツな作りが目立つのが、占い番組である。

 定期的にテレビ局は占いの番組を作る。2004年には、六星占術でおなじみ、細木数子が番組を持っていた。占いが当たっているのかどうか、本人でないとわからないが、大物芸能人やイケメン、好きなタイプの男性がゲストの際は、褒めちぎった鑑定をし、若い女性、お笑い芸人にはおしなべて冷たかったと記憶している。「あんた、地獄に落ちるわよ」という決め台詞的な言葉は、テレビで言っていいものとは思えないが、20%台という高い視聴率を叩き出していたようである。

 最近もまた『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)という占い番組が始まった。「占いは信じない」と言っていた芸能人が、占い師の言葉に「うそ〜、なんでわかるの?」というのがお決まりのパターンだが、ちょっと演出過剰かつ詰めが甘いように思う。

 例えば、9月30日放送の同番組で、モデル・マギーが占い師に「お父さんに似てますね?」と言われ、「当たっている~」とうなずいてみせたが、親子なんだから、似ているのは当たり前だろう。

 また10月28日放送回では、同局の山崎夕貴アナが出演。「占いを信じない」という山崎アナは、占い師に「人を信じやすいので、浮気されやすい」と言われ、結婚前に夫である芸人・おばたのお兄さんの浮気が報じられたことから、「ネットニュース見たんじゃないですか?」と信じてない様子だった。しかし、下記の2つのことを指摘をされると、だんだん占い師に引き込まれていく。

1.夫である芸人・おばたのお兄さんは王様気質、プライドが高いし、身の回りの世話は自分でやらない。誰かにやってもらうのが好き。
2.山崎アナの携帯番号の下4ケタの合計数が25。色ごとに振り回される数字なので、おばたのお兄さんが、また浮気をする可能性が出てくる。

 1に関して、おばたは仕事も家事もバリバリやるお母さんに面倒を見てもらってきたといい、その分、ちょっとだけ亭主関白なところがあると、山崎アナは占い師の言い分を認めていた。2については、浮気されて以来、いつも「どこに、誰と行っているか、何時に帰るか」を確認していると話していたから、浮気されることに警戒心があるということだろう。

 山崎アナが「当たった」と思っているのなら、他人が口を挟む余地はないのだが、家事の苦手な山崎アナに、おばたが家事をやってほしいと思っていることや、時に文句を言っていることは、いろいろなバラエティー番組で明らかになっている。視聴者からすると、山崎アナの出演番組をある程度見ていれば、仕入れられる情報なので新鮮味にかけるし、「占いが当たった!」というカタルシスは得られない。また浮気の件も、“自分より超格上の女子アナを、交際早々に悲しませることができる人なら、いつまた浮気してもおかしくない”と推測するのは容易であり、占いというより、常識の範疇の話ではないか(そもそも「占いが当たっている」「この占い師はすごい!」というふうに持っていきたいのなら、本人でさえも知らない、もしくは忘れているようなエピソードを引き出さないと、占い番組の醍醐味が出ず、なんだかヤラセのような印象を視聴者に与えてしまう)。

 断っておくが、私は占いが「はずれている」と言いたいのではない。判断力の甘い子どもや若い人、精神的に依存しやすい人が、不確かな占いをまるで魔法のようだと信じ込み、大金をつぎ込んでしまうことを危惧するのだ。テレビ局はその危険性を踏まえて、占い番組を制作しなければいけないのではないだろうか。

 占いのように不確かなものを扱うときは、「不確かである」とちゃんとアナウンスした上できっちりエンタメ化し、逆に不妊のような医学的根拠を求められるテーマでは、専門家に任せて素人は余計なことを言わない。テレビ局員のみなさん、そこのところ、どうぞよろしくお願いいたします。

仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2020/11/05 18:40
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