オンナ万引きGメン日誌

万引きGメン憤怒! タトゥー夫婦の共犯目撃も「おれは盗ってないから」……ふんぞり返る夫の秘密

2020/06/28 16:00
澄江(保安員)
写真ACからの写真

 こんにちは、保安員の澄江です。

 長年にわたり、契約をいただいている現場に入ると、過去に捕捉した人と遭遇することがあります。捕捉された時、出入禁止の誓約書に署名を為しているにもかかわらず、素知らぬ顔で入ってきてしまう実情があるのです。きちんと買い物をしてくれるのならまだしも、懲りずに犯行を繰り返す人も多く、私などの存在に気付いて犯行を中止する人までいる始末。面(自分の顔、正体)が割れてしまっているので、それも仕方のないことですが、いない時にやられていると思うと、どうしてもイライラしてしまいます。最近は、万引きをして捕まった人を顔認証登録することで、そうした方の入店を拒否する店も増えてきました。6割を超えると言われる万引きの再犯率を考えれば、それも当然の流れなのかもしれません。今回は、過去に捕らえて更生を誓ってくれた万引き犯に、みごとに裏切られた話をしたいと思います。

 当日の現場は、関東の外れに位置する食品スーパーT。長年にわたり、地元に根付いた商売をしている老舗のスーパーです。勤務の中盤、閑散とした店内を流していると、以前に捕らえた40代前半の女性から声をかけられました。腕や首すじにいくつかのタトゥーを入れた、どことなくタレントの田中律子さんに似ている色黒の女です。

「あ、また今日も入ってるんだ」
「ええ、まあ。今日は、どうされたの?」
「買い物に来たんですけど、まだ出禁なのかな? やっぱり来ちゃダメですか?」
「それは私が許可できることじゃないけど、変なことしないならいいと思いますよ」

 この店で彼女を捕らえたのは、1年ほど前のこと。刺身や惣菜、それに缶ビールなどをバッグに隠して精算しないまま外に出た彼女が、店の前にある駐輪場に停めた自転車に乗り込もうとしたところで声をかけたのです。その時は、商品の精算を済ませ、今後は店に出入りしない旨の誓約書に署名させられた上で、警察に引き渡されるというお決まりの流れで処理されました。前科前歴がないということで被害届は出されなかったものの、身柄の引き受けに家族を呼ばれたようで、あの日のことは死ぬほど後悔していると話しています。

「もうあんな思いは、二度としたくないので、絶対にしません。あの時、捕まえてもらえなかったら、もっとエスカレートしていたような気がして……。お姉さんに、感謝しているくらいなんです」
「そう思ってもらえるなら、ありがたいですけど……。では、仕事中なので、失礼しますね」

 過去に捕らえた人からの声かけは、何度か経験したことがありますが、あまり気分のいいものではありません。話すことも特にないので、その場から逃げるように立ち去った私は、そのまま休憩に入って彼女との遭遇を回避しました。このような状況に陥った時には、身を隠すのが一番なのです。

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