『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』二人の妻を持つ男の「自由」とは「家族のカタチ ~ふたりのお母さんがいる家~」

2020/06/01 18:54
石徹白未亜(いとしろ・みあ)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。5月31日は「家族のカタチ ~ふたりのお母さんがいる家~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 佐賀県の山あいの、かつて料亭だった「ポツンと古民家」には9人の大家族・西山家が暮らしている。父・嘉克、母・ゆかりと裕子、そして6人の子どもたち。西山家には母親が二人いる。嘉克は「書道アーティスト」だ。ゆかりは嘉克を好きになり2012年に二人は結婚するが、そのわずか8カ月後に嘉克はゆかりに、仕事の助手である裕子のことも好きになったと告白し「理想を言うと、裕子さんとゆかりさんとさらに幸せな道を一緒に実験したいけど、どうかな 」と仰天の提案をする。

 話し合いやケンカの末、嘉克はゆかりとも裕子とも現在は籍を入れず事実婚の形で一緒に暮らしており、子どもたちは嘉克さんの戸籍に入っている。ゆかりや裕子は、このことをきっかけに実家の親とは折り合いが悪くなっているし、ゆかりと裕子の間には、かつて互いに嫉妬や葛藤もあったというが、互いが自宅出産で介助するなどして、現在はこの家族の形態を受け入れているという。

二人の妻を持つ嘉克、どんな男なのか

 まず「妻二人」を成立させる嘉克の男ぶりについて報告したい。顔立ちはなかなかのイケメンだ。「街で見かけたら振り返ってしまう」レベルではないが、バーなどで座っていたら「へえ、イケメンがいるなあ」くらいには思うほどではある。

 嘉克は39歳だが、中年太りとは無縁ですらっと細身、毛髪の不安も見る限りなく年齢よりずっと若く見える。「お父さん」というより「お兄さん」という感じで、39歳、6人の子持ちでこれはなかなかすごいのではないだろうか。一方で、これは日常の苦労を二人の妻、特にゆかりに押し付けているから、若々しさを保てているのでは……、と思うと素直に称賛し難い。

 嘉克の仕事は書家であり、インスピレーションを詩にしたためるという、相田みつをのような仕事をしている。男性の場合、仕事の才能で女性をメロメロにする「才能萌え」路線もある。もともと姿かたちはイケてるほうである嘉克の「仕事ぶり」が良ければ、鬼に金棒だろう。

 嘉克の書道アーティストとしての書や詩の才能はどうなのか。番組では、出張先で客に即興でしたためた嘉克の詩が紹介されていた。あいにく書体は紹介できないが、内容だけお伝えしたい。

「人生色々あるけれど
日々色々あるけれど
それでも全部
いい思い出に
笑い話に変わっていく。
私たちの幸せって
きっとそういうこと
なのかもしれない。」

 いかがだろうか。書にも詩にも疎い私は、居酒屋のトイレによく置いてある作品だな、以外の感想が出なかったが、この詩をしたためられた女性二人組は、詩が読み上げられると、最後は「堪えきれない」様子で涙をぬぐっており、世の中には私が思いもよらないニーズがあるのだと気づかされた。

 嘉克はこういった詩をしたためる全国行脚をして、それで子ども6人を食わせている。私は嘉克のことを男、父親、夫としてどうかと疑問を抱くが、相田みつを的なことで一家を食わせているのだから「フリーランサー」としての力量は尊敬する。

わたし、恋人が2人います。/きのコ
10年後、長男のほうに話を聞きにいってほしい

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