【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

「胎内記憶」池川明医師は、虐待の専門家をあざ笑う――「頼ってもムダ」発言の恥ずかしさ

2020/03/21 14:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
池川明医師公式サイト「池川明ドットコム」より

 弱った心に入り込む、甘い言葉やラクに稼げそうな情報――。ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にする、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。「この人たちのようになれるかも」と彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 新型コロナウイルスの騒動で、落ち着かない日々。引き続き、手洗いうがいなどの対策をしっかりとしたいものです。そういえば、「胎内記憶」の第一人者である産婦人科医・池川明氏は、自身のFacebookで「ベビーイオン 結構売れてます! コロナウィルス、インフルエンザウィルス、花粉症対策などに使えます」と、24万円(税別)の「イオン発生器」の宣伝をしておられました。自粛ばかりではなく、経済活動も大事ですもんね。この機械がどうというわけではなく、便乗商法やデマにはくれぐれも注意したいものですねえ。

 さて、そんな池川医師、どうやら「胎内記憶」が間違った解釈をされていると、お怒りのようです。

 昨年、立教大学で行われた「霊性(スピリチュアリティ)と現代社会」なる公開シンポジウムに、池川医師が「登壇予定」と告知され、ネット上で物議を醸しました。“あの”池川医師が招かれたということで、私も「マジか立教大学」とツイートしたところ、拡散されて「これはヤバい」「自分の子どもがこんな講演聞いてきたら泣きたい」といった、批判的な反響がありました。

 この騒動がWebサイト「Wezzy」をはじめ、いくつかの媒体に取り上げられたこともあってか、のちに立教大は「講師のご都合」として、池川医師の登壇取りやめを発表。こうしたひと悶着がありながら、昨年12月8日、池川医師抜きでシンポジウムは開催。「在日宇宙人」「宇宙人ドクターズ(の一人)」「天の声を聴く詩人」「和太鼓響沁浴演奏者」といった人々が登壇したようで、池川医師がいなくても、十分カオスな状況だったようです(これについては、キリがないのでツッコみません)。

「虐待する親を選ぶ」と主張する意味はあるのか?

 以前、当コラムでもテーマにしましたが、「胎内記憶」とは、子どもたちが語る「母親のおなかの中や、前世にいた時の記憶」のことを指すそうです。池川医師によれば、6歳までの子ども3,500人にアンケートを取ったところ、その中の約3割が「生まれる前の記憶」を語ったといいます。この結果だけならいいのですが、池川医師はこれを「胎内記憶」として、「子どもは親を選んで生まれてくる」「虐待をする親を選ぶ子どもがいる」など、「不幸や不遇も自分で決めた」と取れるむちゃな理論を広めていると感じます。私はこの“思想”を、以前から問題視し続けています。

 1月29日から2月8日にかけて、池川医師は立教大学コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科の濁川孝志教授との対談動画を12本もYouTubeに公開しました。ここで池川医師と濁川教授は「ネットで騒がれた」と苦笑しつつ、「胎内記憶が虐待肯定だというのは、完全にフェイク」「批判したい人はしてもいいが、一般に流れる情報にフェイクを出すのはよくない」といった主張をしています。これは、前述したWezzyの記事「虐待を肯定する『胎内記憶』池川明医師が立教大シンポジウムに 大学側の見解は」に対する“反論”です。

 まず動画を視聴して驚いたのは、池川医師が「子どもがそう話している」などと繰り返していたこと。責任逃れではないと思いたいのですが……。たとえば、次のような発言がありました。

「虐待をする親を選ぶ子がいるのは間違いないんですよ、だってそう言うから」
(FOTTO TV「(6)Wezzy 記事の「虐待肯定」は、論理飛躍?」より)

 本気で言っているなら噴飯ものです。親による凄惨な虐待事件が連日報じられているこの時世に、「そう言うから」といって、虐待される環境を「選ぶ子がいるのは間違いない」と主張する必要性が、一体どこにあるのでしょう? 目黒区の結愛ちゃんも、野田市の心愛ちゃんもこれに当てはめられてしまうのなら、甚だ疑問です。

 厚生労働省によると、全国の児童相談所への虐待相談対応件数は、「一貫して増加を続け、2017年度には13万件を超えている」(2019年3月19日発表「児童虐待防止対策の抜本的強化について」より)といいます。調査や報道で明らかになる惨状だけでなく、人知れずネグレクトや性的暴行を受け、一生の傷を抱える「虐待サバイバー」もいます。また、虐待を止めることができず悔いる加害者家族、被害者の関係者もいるでしょう。池川医師がこうした状況を知った上で発言しているとは、到底思えません。

わたし、虐待サバイバー
取り返しのつかないことが起こる前に

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