“ジェンダー”を考える2019年映画レビュー

【2019年映画レビュー】『アナと雪の女王2』エルサは「生意気」? 続編で失われたメッセージとは

2019/12/31 16:30
真魚八重子(映画評論家)

ジェンダー意識が低いイマイチ作品

『アナと雪の女王2』……前作に比べ停滞感あり、メッセージ性も薄く

 逆に、前作と比べて停滞を感じ、ジェンダー的な視点から見てもイマイチな作品は、『アナと雪の女王2』だ。1作目では、エルサに王子様の存在が皆無というディズニーにおける珍しさや、妹とのシスターフッドにみられるセクシュアリティがファンの間で話題となった。そしていまだに同性愛者のプリンセスが登場しないディズニーアニメに対し、ソーシャルメディアを通じて「エルサに彼女を」というハッシュタグによる全世界的な運動も起こった。

 しかし、ファン待望の2作目では、1作目で暗黙の裡に表明されていた彼女の独身主義は特に言及もされず、メッセージ性は失われていた。「王子の登場を必要としない」という生き方は、男性から見るとその自立性が「生意気」という印象を持たれることがある。ディズニーにおいても、そういった異性を必要としない同性愛的な雰囲気や、か弱さのない独身主義は、先進的すぎたのだろうか?

真魚八重子(映画評論家)

真魚八重子(映画評論家)

映画評論家。映写技師や派遣社員を経て、「映画秘宝」(洋泉社)「キネマ旬報」(キネマ旬報社)などのほか、映画パンフレットやDVDでも執筆。著書に『映画系女子がゆく!』(青弓社)、『映画なしでは生きられない』(洋泉社)、『血とエロスはいとこ同士 エモーショナル・ムーヴィ宣言』(Pヴァイン)などがある。

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最終更新:2020/01/08 11:07
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