コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

デヴィ夫人は、なぜ性犯罪を軽くとらえるのか? 貧困から脱却した彼女の「性」の価値観

2019/02/07 21:00
仁科友里

 羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「(警察は)彼を絶対逮捕するという強い意志のもとに、動いていた」デヴィ夫人
(講談社刊『選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論』出版記念会見、2月6日)

 例えば、スーパーで万引きをした人が万引きGメンに捕まり、店が警察に通報したとしたら「それは当然だ、万引きをした人が悪い」と言われるだろう。しかし、なぜか同じ犯罪でも、加害者が断罪されず、なぜか被害者が責められるのが性犯罪なのである。性犯罪へのコメントは、その人の性(女性という性別、セックスという意味の性)のとらえ方が如実に反映されるものなのかもしれない。

 性犯罪に関するコメントで、独特なスタンスを取っているのが、日本人にしてインドネシア建国の父、スカルノ大統領と結婚したデヴィ夫人ではないだろうか。2018年に元TOKIOのメンバー・山口達也が女子高生に対する強制わいせつ事件で書類送検された際、夫人はブログで「KISSされたら、トイレに行ってちょっとうがいして『ちょっと失礼』と言って二人で帰ってくればよかったのでは?」と、女子高生への批判とも解釈できる文章をつづっている(のちに削除)。

 今月に入って、俳優・新井浩文が派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴した容疑で逮捕された事件では、新井の出演作品がお蔵入りする可能性が高いことから「たくさんの方に迷惑をかけるなら、1000~2000万でも差し上げて円満解決すればよかったのに」とコメントした。また、自著『選ばれる女になりなさい デヴィ夫人の婚活論』(講談社)の出版記念会見では、「(警察は)彼を絶対逮捕するという強い意志のもとに、動いていた」と述べているが、逮捕は法律に基づいてなされるものであり、警察の意志のもとでなされるとしたら、由々しきことである。夫人は「性犯罪は大したことではない」「性犯罪は、カネで解決できる」「性犯罪くらいで逮捕するなんて、警察もひどい」といった具合に、女性に対する性犯罪そのものを軽くとらえているのではないだろうか。

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