仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

藤田ニコル、ギャルタレントからオトナに転身成功も……「真面目で親孝行」な一面に募る不安

2018/11/01 21:00

藤田ニコルの母の発言に違和感……

 そんなテレビでさらなる活躍が期待できそうなニコルだが、不安要素を感じることもある。彼女が明るい色の服やメイクをしていても、なぜか暗さのようなものを私は感じるのだ。

 ニコルは両親の離婚や生活苦、母の再婚と離婚、DV、借金、浮気癖を持つ母の恋人との同居を何度も経験するなど、子ども時代には苦労が絶えなかったらしい。しかし、今や仕事は好調で『サンデー・ジャポン』では「車は去年買った」「ママと住める家を買おうかな」と発言するなど、財布は潤っている様子。

 貧しい家庭に育った子どもが芸能界で売れて、親のために家を建ててあげる。日本人好みの美談だが、こういう時に思い出すのが、その昔、工藤静香が「ViVi」(講談社)で語っていた人生哲学なのである。静香は高級住宅地に二世帯住宅を建て、母親の闘病をきっかけに両親と暮らし始めた。絵に描いたような親孝行だが、その一方で「金銭管理は親にさせない、それで揉めてきた人をいっぱい見たから」とも語っていた。

 カネを前にすると、実の親子でも揉めることがある。となると、あの若さで同世代に比べて格段に稼ぐニコルは、家族崩壊の火種を持っているとも言える。かつて、中森明菜は自殺未遂の原因の1つに、家族に金銭的にたかられていたことがあると「マルコポーロ」(文藝春秋)で告白していたが、女性芸能人にとってカネをめぐる家族との不和は、芸能人人生を縮めかねない大きな問題なのではないか。

 『情熱大陸』(TBS系)に出演したニコルの母によると、ニコルは「自分に仕事があるうちは、家賃を払ってあげる」と母親(とほかの家族)の住む家の家賃を負担しているそうだ。「みんなにうらやましいって言われる」「どうしたらそういう子になるの? って聞かれる」とニコルの母は言っていた。「そんなの知らないよ」と答えるそうだが、「ありがとう」とか「つらい思いをさせて悪かった」いうような感謝や謝罪の言葉がないことがひっかかった。

 『おしゃれイズム』で、ニコルの理想の結婚相手について聞かれたニコル母は、「親も大切にする人」を挙げていた。ここでいう親とは、男性側の親(ニコルから見て姑舅)なのか、それともニコル母のことなのか。もしニコル母を指すのなら、何をもって「親を大切にする」というのか。

 『情熱大陸』で、自分について「真面目で、ママと正反対」と語ったニコル。親孝行は結構なことだが、そもそも、自分の稼いだカネは自分のもの(親のものではない)って知ってる? と聞きたい気持ちになる。親に応援してもらうことで、芸能活動のモチベーションをあげつつ、越えてはいけない一線も守る。家族との距離をうまく管理することも、売れている芸能人の大事な仕事なのだから。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2018/11/02 08:49
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