仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

女優・吉田羊から考える、年を重ねた女性芸能人が“男前”を売りにしたがるワケ

2015/08/06 21:00
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吉田羊公式プロフィールより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「まぁ、気は強いですよ」吉田羊
『アナザースカイ』(日本テレビ系、7月31日放送)

 芸能人の書いた本についてのレビューを担当していたとき、20代ではない女優(鈴木砂羽、長谷川理恵、水野美紀)の記述があまりに似通っていて、「あれ、この本読んだっけ?」と表紙を確認したことが何度もある。彼女たちの共通点は、自称「オトコっぽい性格」もしくは「中身はオッサン」。ほかにも「食べるの大好き、庶民的な店も好き」「ダイエットは気にしない」「ストイックに物事に取り組む」など、かなりパターン化されている。若くない女性芸能人は、猫も杓子も“男前路線”を狙うのがスタンダートになっているともいえる。

 男前とは公言していないが、女優・吉田羊もその路線を取る1人だろう。彼女の知名度を上げたのは、『HERO』(フジテレビ系)の女検事役である。クールな美貌と演技力で顔を売り、ブレークを果たした。遅咲きではあるが、大河ドラマをはじめとしたドラマ、映画、CM、最近ではバラエティにも進出し、活躍の場を広げている。今、一番ノッている女優と言っても過言ではないだろう。

 吉田の“男前度数”を見てみよう。まず、吉田は「食べることが大好き」である。『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の「ゴチになります!」のコーナーでは、ボリュームのある料理を平らげて、共演者を驚かせた。7月31日の『アナザースカイ』(同)でも、台湾に赴いた吉田は、餃子やニラ饅頭、カニ料理などを食べ歩く。食欲旺盛ながら、細身のスタイルをキープできているのは、「我慢せずにしっかり食べた翌日は、水しか飲まない」ダイエットをするそうで、「0か100かしかできない」と自分の“ストイックさ”を表現した。さらに吉田は酒豪でもあり、その点も大酒飲みの“男前”鈴木と一致する。

 しかし、“男前”鈴木や水野と異なるのは、吉田のマネジャーが女性という点である。『アナザースカイ』では、この女性マネジャーとともに下積み時代の苦労話が語られた。長く舞台女優として活動してきた吉田を見た現在の女性マネジャーが、彼女に才能を感じて、映像の世界にスカウトするが、立ち上げたばかりの事務所のスタッフは、現在のマネジャー1人。事務所の規模は、仕事量にも関わる問題だろうが、社長兼マネジャー兼運転手として、吉田と二人三脚で8年かけて、“女優・吉田羊”を作り上げたそうだ。

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