[連載]そうだソルティー京都、行こう

歴女へのアピールに乏しすぎる、岩倉具視旧宅の脱・娑婆っぷり

 京都は、世界屈指の観光地。そして女の憧れの地である。美味いもん食って、寺社を見て、お洒落して、勉強する。何でもかんでも「京都でする」のが女の憧れなのだ。女性誌はこぞって京都特集を組み、ガイド本や京都観光エッセイがボロボロ出版されている。確かに京都には歴史がある。名産品がある。美味がある……そして誰も取り上げないけれど「しょっぱい京都」もある。

 しかし京都のほんとうの魅力は、こういうソルティーなところにあるのだ。上品ぶっている女性誌では取り上げないほんとうの京都の姿を、しっかり焼き付けて欲しい。そうだソルティー京都、行こう。

【第12回 岩倉具視幽棲旧宅】

 京都にあるとある寺……黒光りする床に、燃え立つような紅葉の赤や、初々しい新緑が映ることで有名な寺をご存知だろうか。叡山電鉄鞍馬線の岩倉駅から徒歩20分、静かな住宅街の中にたたずむ、実相院である。

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 この素敵な寺を見に行くのなら、是非立ち寄っていただきたい場所がある。何しろ実相院は京都市内からちょっと離れていて、移動に時間がかかるのだ。いくら名刹とは言え、ここだけのために訪れるのはもったいない。

 そんな実相院立ち寄りスポットとしてオススメなのが、「岩倉具視幽棲旧宅」。その名のとおり、岩倉具視が失脚して5年ほど蟄居した際に住んでいたお宅だ。

 300円を支払い、受付をして敷地に入ったら、まず左側の小高い丘にある旧宅に向かおう。

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これが岩倉具視様が幽棲された旧宅

 ここでは、是非窓ガラスを見ていただきたい。ゆらゆらとゆがんだ光を通すこのガラスは、かなりの年代モノである(ちなみに4枚あるうちの1枚が割れてしまったとのことで、1枚だけがつるつるの現代ガラスである。もうちょっと大事に扱ってください)。

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この大きさの一枚ガラスはかなりの高級品とのこと。

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そこにいる限り、エンドレスで具視様について説明し続けてくれます。

 ガラスをうっとりと眺めながら、とうとうと流れる無骨なアナウンスを一通り聞いたら、敷地奥にある洋館へ足を運ぼう。ここが、今回一番の見所である。

 こじんまりして、雰囲気の良いこの洋館は、武田五一という有名建築家が設計したものだそうだ。よく見るとかわいらしい洋館なので、レトロ建物が好きな方も是非。

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ここに必見のアイテムが収納されている!

 さてその洋館に足を踏み入れると、小さな空間に、いろいろな資料が飾ってある。岩倉具視の写真やら持ち物やら手紙やら。なかなか年季が入っていて見ごたえのあるものばかりである。

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まあ、燃えるゴミですね。

 そして壁に貼ってある写真を見ながら思うのは、「ああ、こんなに無闇にたくさんの写真を飾らなければ、誰かが具視様をイケメン風に描いてくれて、イケメン具視として歴女の憧れの的になれたかもしれないのに」ということです。

 さて、ここのメインは、1枚の絵画である。洋館入り口左側に飾ってあるこの油絵は、明治天皇が病身の岩倉具視を見舞った時のものだそうだ。

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明治天皇の顔が一切確認できませんけども……

 絵には、こんな風景が描かれている。後光を浴びて威厳に充ち満ちた姿で入り口に立つ明治天皇。娘に支えてもらってようやく床から半身を起こし、震える手で(多分ね)頭を垂れ拝んでいる具視。右端で額を床にこすりつけんばかりにひれ伏す嫁。

 解説によると、この翌日、岩倉具視は身罷ったのだそうだ。……うん。病人に余計な気を遣わせたからじゃね? ダメだよ、こんな病人に無茶させちゃ。そりゃ精根尽き果てちゃうよ。

 この絵は是非現地に行って自分の目で確かめていただきたい。ここの入場料300円は、この絵を見るために払うのだ。

 ちなみに、ここの受付をされているご老人、聞くと何でも答えてくれるので、思いついたことは何でも聞いてみよう。

 本当にどうでもいいことだけど、ここの初代館長は、岩倉家の執事だった人なのだそうだ。いっそ、彼をイケメンということにして、岩倉家回想録みたいなマンガでも作って、この岩倉具視幽棲旧宅を女子たちの格好の巡礼場所に仕立ててやろうじゃないですか。

 それにしても、蟄居とか幽棲とか、どうにもかっこいい言い方である。部下に「本日、自宅にて幽棲いたします」とか言われたら、もう逆らえない感じ。

和久井香菜子(わくい・かなこ)
ライター・イラストレーター。女性向けのコラムやエッセイを得意とする一方で、ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、就職系やテニス雑誌、ビジネス本まで、幅広いジャンルで活躍中。 『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。

本書には「幕末不良志士(ワルメン)」として登場の具視

しぃちゃん



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