[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

母親と昼間に飲んだビールを思い出し、「果報は飲みながら待つ」ことにしたのだ

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(C)安彦麻理絵

 早い。もう8月も半ばである。先日、区役所の保育課に赤ん坊の保育園入園の手続きをしに行った。とはいえ「はい、分かりました☆」と、すぐさま入れてもらえるわけがないのを承知の上で。案の定、どこもかしこも「空きがない」とのことである。どこもかしこも「激戦状態」とのことである……もう、そんな台詞は聞き飽きた。どうすんだ一体。仕事できねぇ。近くに赤ん坊預かってくれる親もいないし。ベビーシッターなんて雇うカネもなし。大抵の人は、そう簡単にそんなもん雇えないよねぇ? 認可保育園がダメなら、無認可で探すしかないので、保育課で紹介してもらったとこに片っ端から電話してみたけど、案の定、どこもかしこも「もういっぱいいっぱい☆」……とのことである……どうすんだ一体。

 とはいえなぁ。赤ん坊、別に「保育園に入るために、この世に生まれてきた」ってわけじゃないんだしなぁ。あんまりこういうことで、眉間にシワ寄せて不機嫌丸出しになっててもなぁ。「何か奇跡でも起きない限り、この時期保育園には入れない」という、そんな状態。何か奇跡。……まぁ、なんとかなるでしょう。今までだって、そんなことの連続でなんとかやってきたんだし。ありえねぇ、って思ってても、気が付けば全て、なんとかなってた。ありえない奇跡の積み重ねで、どうにかこうにかなってきた。

 ところでこないだ、うちの実家から出産祝いでワインが送られてきた。出産祝いにワイン。それも、ご丁寧に赤と白。

「まぁ、赤ん坊の面倒見るのに疲れたら、これで晩酌でもしろ」

 ってことで、私の好きなご当地ワインを送ってくれたのだろうけど、しかし。酒を飲まない親に育てられた私の夫には、なんとなく「……??」って感じだったらしい。そりゃまぁ、こないだ子ども産んだばっかの女に酒をプレゼントってねぇ。母乳で育ててるわけじゃないけど、でも、出産祝いに「晩酌用の酒」って、どうなんだ一体? って、まぁ、夫が言いたいことは分かるけど。でも、うちではこれが普通、なのであった。

 なにしろ妊娠中、実家に帰った時も、うちの母は「あんた、何飲む?」って聞いてくるくらいなのである。「あのワイン、用意しとく??」って、私妊婦なんだけどねぇ。「あんたが腹の中いた時も飲んでたよ、私」って、けろっとした顔で母は言ってたけど。でも、それでも「自分の夫(要するに私の父)よりは、たくさん飲まないようにしてた」みたいであった(そんなこと、よくできるもんだ)。そのへんは「女としての節度」を保つよう努力してたみたいである。

 以前は母と二人でデパートの屋上に行くと、必ず一緒に生ビールを飲んだもんであった。母親と、真っ昼間から飲むってのも、案外悪くないもんなのである。だけど、半年くらい前に池袋西武の屋上に行った時は、母は生ビールじゃなくてソフトクリームをパクついていた。「酔ってころんでケガでもしたら大変」とのことであった。そんなわけで仕方なく、私は一人で飲んでたのだが、「あ~、おかあさん、トシとっちゃった」って、なんだか無性に寂しくなっちまったのは言うまでもない。デパートの屋上で、そんな思いにかられながら飲むビールは切ない。

 そんなわけで。「果報は寝て待て」じゃないけれど、保育園入園問題については、キリキリしてても仕方ないから、私は「果報は飲みながら待つ」ことにしたのであった。実家から送ってもらったワイン、山形産の「出羽の四季」ってやつなんだけど、これがものすごくうまいのである。なんていうか「ワイングラス」よりも、「湯飲み茶碗」で飲んだほうがしっくりくるような、そんな素朴な味。でも、このワインの何がすごいって、これ、普通のビンじゃなくて「一升瓶」に入ってるのである。乳飲み子かかえた女が、一升瓶片手に晩酌ってのもいかがなものかと、自分でも思うのだが。

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