[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

41歳4人目出産の妊婦が「たまごクラブ」を読んで思ったこと

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(C)安彦麻理絵

 医者曰く「安静にしてないと駄目」だそうである。切迫早産しそうだから、だそうである。赤んぼ、どんどん下に降りてきちゃってるらしい……確かに今、出てこられても困る。「安静」というと、「じゃあ座ってればいいのか」と思いがちだが、「とにかく横になってないと駄目」なんだそうである。座ってても体がタテになってたら、引力の法則で、赤んぼは下に落ちてきちゃうから、とのこと。家事とかそういうのも、とにかくやらずに横になってるべきなんだそうである。

 とはいってもなぁ……。近くに頼れる親なんて住んでないし(私は山形、夫は名古屋)。だから今、夫が色々頑張ってくれてるんだけど。でも、掃除とか洗濯とか、私もやらざるを得ない場合もあるしねぇ。てゆうか、そういうのはいいんだ別に。それよりも。……とにかくもう、猿みたいな3歳児と1歳児の兄弟をなんとかしてくれ!!

 ところで。そんなふうに「ただとにかくもう安静」を言い渡されてるくせに、いかんせん、ヒマすぎて、もうウンザリしちゃって、昨日駅前の本屋まで出かけてしまった。というのも、ここにきてなんだか突然「たまごクラブでも読んでみよう!!」という気になったのである。……41歳4人目高齢出産目前の女が(予定日には42歳……)今さら何を、というふうでもあるが、「ちょっと、初心にかえるのもいいんでないか?」と、はたと思い付いたわけである。

 懐かしい。30歳で初めて長女を妊娠した時、産婦人科の待合室で、ヒマにまかせて初めて「たまごクラブ」を読んだあの時。「……なんだぁ、これ!?」と、眉間にシワを寄せ、激しく憤ったのは言うまでもない。なにしろ当時の私は、血気盛んな、まだまだ自分の事を「特別な人間」と思い込んでいるような、若気の至りに満ちあふれていた状態……。その雑誌に載ってる妊婦たちは皆「脳内お花畑状態」な奴らにしか見えず、しかもその時の私は「妊娠したくて、なりたくて妊婦になったわけじゃない!!」という有り様だったので、「こんな奴らと一緒にされてたまるかぁっ!!」と、まぁ床に雑誌を叩き付けはしなかったものの、でも、気分的にはそんなふうだったわけである。
こんな妊婦だったから、今だに長女にはホント、申し訳ない気持ちで一杯なのである。できることなら、もう一度産み直させて欲しい、って思ってるくらいなんだけど、でもまぁ、イヤだろね、もう、私の腹から産まれんの。

 そんなわけで、昔はそんなふうな私であったが、今はちゃんと立派な大人になったので。「いやいや、ほんとにもう、どうもすみませんね」って感じで、なんていうか「股間をタオルで隠して、ヘコヘコしながら入浴する人」みたいに、謙虚に読ませていただいた、という感じである。なにしろ、この雑誌に出てくる読者妊婦さんたちは、みんな若い。で、やはり初産率高し。そんな読者の為の雑誌なんで、特集も「超初心者向け」という感じで、「早めに始めたモノ勝ち!お産入院完全☆準備バイブル」である。先輩ママ達の「入院中これがあると便利!!」とか「これはあんまり使わなかった」など、使える情報盛りだくさん、他にも「入院中パパにお願いしておく事」とか「ベビーと過ごす最初の1週間を最高にHappyにする!」ためののネタが満載である。そして「入院準備は妊娠5カ月から始めよう!」とのことで……

 私、妊娠9カ月に入ってんのに、まだなんもやってないんですけど……てゆうか、5カ月から準備ってアンタ、早すぎじゃねぇの!? って思うんだが、まぁ、初めての出産、ってことだったらな、そのぐらい前から気分を盛り上げておくのもいいのかもしれない。「もう、4人目だし今さらな~」なんて、すれっからしになってる私である。
もう少し、たまごクラブ読者を見習って、己に「初々しい可愛げ」を注入した方がいいかもしれない(ちなみに、てゆうか、関係ないけど、杉田かおるの自伝のタイトルは『すれっからし』である)。

 そんなわけで他には、「帝王切開・本当のところQ&A」「立ち会い出産する人・しない人」など、「へ~」だの「ほ~」だの、私が今さら知ってどーすんだってネタだが、でも読めばそれなりに面白かった。で、極めつけは、とじこみ付録「妊娠中から産後まで・やっていいセックス ダメなセックス・切り取ってパパと一緒に読んでね」である。この企画、これはこれで大変オモシロかったのだが……ん~、この雑誌って、ダンナの事を「パパ」って呼び名で統一してるんだけど、それってどーなんだ、パパ。子供産まれたら奥さんに「パパ」って呼ばれることに抵抗ない男、ある男、そーゆうのってどんくらいの比率なんだろう? うちの向かいのマンションに住んでる奥さん(30代)なんて、思いっきりデカイ声でいっつも「パァ~パ!! パパ!! パ~~パ!!!!」って亭主のこと、呼んでるんだけど、それってどーなの? 呼ばれてる方ってどんな気分? セックスの時とかどんなふーなの?? すっげー知りたい(知りたがり)。

 でも、「パパ~そろそろ二人目欲しいんだけどぉ~」なんて女房に言われて、セックスする気になる男っているんだろうか? 私が男だったらそんな「種付け感ムンムンのセックス」なんて、思いっきり萎えるんだけどな~。それはともかく、今回、この雑誌を読んで改めて思ったこと。それは。「最近の子供の名前って、なんで『源氏名』っぽいのばっかりなの!?」である。あえて例は出さないけど、でも、とにもかくにも男女揃って読めない名前ばっか。ホストとかキャバ嬢の源氏名みたいのばっかなんである。幼稚園、保育園、学校の先生は名前覚えるの大変だろうなー。びっくりしたのが、「海老蔵をボコボコにしたアイツとおんなじ名前の子供」って結構多いんですよねぇ、ハーフだからとかそういうんでなくて、なんか普通につけられてる。

 そーゆーわけでまぁ、なんだかんだ言いつつ、それでも、ステキな「たまごママタイム♪」を、過ごした私。しかし雑誌購入後、書店から自宅までの帰り道は、まるで拷問のようであった……というのもこの雑誌、「ものすごく重い」のである。いや、「ヴァンサンカン」とか「家庭画報」の比じゃないんだけど、でも、「安静を言い渡されてる妊婦」には、もんのすごく重く感じられて、とにかくもう、歩く道すがら、雑誌の重みで腹が張って苦しくなってきて、なんだか「お股から、下腹部に詰まってるものが落ちてきそうな感じ!!」で、まさかこのまま陣痛がきてしまうのでは!? と本気でビビった……たまごクラブを買ってきて早産になってたら、ある意味、本末転倒である(やっぱ、妊婦さんは重いものを持ってはいけません)。

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