新作『淑女』上演記念インタビュー

女の評価軸はどこで変わる? ぺヤングマキが「オバちゃん問題」に斬り込む

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主宰のぺヤングマキ氏

 女の”みみっちい業”を描き続ける、溝口真希子ことペヤングマキ率いる劇団「ブス会*」が4月17日から新作『淑女』を上演する。これまで、AV女優やデリヘル嬢、スナックに出入りする女たちなどを描いてきたペヤングマキが今回のテーマに選んだのは「女のオバちゃん問題」。年齢の異なる4人の女が「オバちゃんになる」という問題に振り回される群像劇。毎回女のチマチマした自慢や嫉妬、ホメ合いを細かい会話で、笑いながらもグサッと刺さる言葉で女の現実を浮き彫りにしてきた彼女は「オバちゃん問題」をどう見ているのだろうか?

――まず、「ブス会*」という劇団名なんですが、なぜこの名前にしたんですか?

ぺヤングマキ(以下、ぺヤング) 私はAV監督もやってるんですけど、女のスタッフ同士でやってた飲み会を周りの男の人がバカにして「ブス会」って呼んでたんですよ。私たちも『でも別にこのメンバー、ブスってわけじゃないよね』って余裕こいて名乗ってて(笑)。劇団名を考えてたときにそれを思い出して、キャッチーだしいいな、と。でも、去年立ち上げたときに「なんでそんな自虐的なネーミングにするの?」って言われて、「あれ? 別に自虐のつもりじゃないのに……。私、この人にブスって思われてんのかな~」ってちょっと傷ついたりして(笑)。「ブス」っていう言葉に対する反響が予想以上に大きくて、逆にビックリしましたね。

――今回は「女のオバちゃん問題」がテーマなんですね。

ぺヤング 今までAV女優とか風俗嬢とか若者を描いてたんですけど、自分が30歳過ぎてから、そういう人たちが自分より一回りぐらい下の年齢になってて。「あれ? 私たち結構オバちゃんじゃない?」って感じる瞬間があって。でも完全にオバちゃんって開き直るには中途半端な年齢だし、その微妙なラインを描きたいなと思ったんです。若いころはブスとか美人とかを気にしてたけど、オバちゃんにはそれすら関係ない気がする。「オバちゃんになる」という第二の恐怖を感じ始めてから、「みんなどこで開き直るんだろう」という興味もわいてきて。

――取材のために掃除のアルバイトをされたそうですが、実際にオバちゃんと呼ばれる年齢の女性たちと接してみて分かったことは?

ぺヤング 行く前は「精神的に若くいることが大事なのかな」とか思ってたんですけど、やっぱり第一には見た目だなと(笑)。

――厳しい現実ですね(笑)。

ぺヤング 誰が見てもオバちゃんの見た目だと、それはもうオバちゃんですよね。年齢にあらがえないものは確実にあると思います。

――女同士の間で「私はあなたほどオバちゃんじゃないから!」っていう小競り合いはあるんですか?

ぺヤング それはもう、それぞれが絶対に思ってるだろうし、表には出さないけどありますよね。明らかに一人年齢的にオバちゃんだなっていう人がいたら、その人に対してはみんなそう接していますよ。若作りしてキレイにしようとしてる人同士は、女の部分での張り合いがあったり。女同士の評価は男とはまた違って、残酷なところがありますね。あと、掃除アルバイトの制服を家から着てくる人がいて、それはさすがにオバちゃんだろうと(笑)。

――女性同士による評価軸が変わってくるんですね。

ぺヤング 20代ぐらいだと「モテるかモテないか」、30代だと「何を持ってるか持ってないか」になりますよね。ただキレイなだけじゃダメで、ダンナと子どもが居て、さらに自分の仕事でも輝いてなきゃというところまでハードルが上がってる印象があります。しかも実際に幸せかどうかよりも、「他人に幸せだと思われるかどうか」を気にしている人が多い。これがおばあちゃんになると、今度は「病気」とか「孫」での小競り合いになるんでしょうけど(笑)。

――対男性での部分ではどうですか?

ぺヤング それはまた違うんですよね。見た目に気を使ってなくてオバちゃんぽいのに、男性に色気出してる人っていますよね。「あ、ヤレるんだ」っていう感じで男性にくっついていったり、意外と気持ち悪い付き合いをしてたりする(笑)。

――オバさん化からは逃れられないとすると、いい感じの年の取り方って何なんでしょう?

ぺヤング 「幸せなオバちゃん」だったらいいのかなって思うんですよ。イタイ感じだと、ちょっとつらい。あと「私、オバちゃんだから~」って言っても大丈夫な理由、例えば結婚して子どもも居るとかそういう理由があれば、色恋関係なく「幸せなオバちゃん」として見られるんじゃないですかね。

――となると、独身のオバちゃんがヤバいですね。

ぺヤング そこで結婚問題が出てくるんですよね。今まで「なんでみんなそんなに結婚したがるんだろう?」と思ってたけど、そこにはオバちゃん問題も絡んでるんじゃないかと思えてきました。オバちゃんになって誰にも相手にされなくなったときに、自分を大切に思ってくれる確実な存在が居るかどうかって相当大きいですよ。結婚・出産を経験すれば、そのタイミングでうまく「オバちゃん」問題と向き合えるんでしょうけど、独身は本当にこじらせる(笑)。

――今、20代後半~30代ぐらいの女性は、迫り来るオバちゃん問題を受け止めるためにどういう心構えでいたらいいんでしょうか。

ぺヤング オバちゃんっていうことをポジティブに考えることですかね。そこをあんまり考えすぎても傷つくことが多いと思うんです。基本、女の人はズ太いし、強い。そのズ太さがオバちゃんになっていく部分。自分で自分のことをオバちゃんだと思ってなくても、「私もうオバチャンだから~」って言っちゃった方が人間関係もスムーズに行くし、女同士の張り合いからも解放される場合もありますよね。オバちゃんの方が生活もしやすいし、生きやすくなる面もあるから、処世術として自ら進んでオバちゃんキャラになっちゃう。「本当は私もオバちゃんキャラじゃなくて、まだまだ女子でいたかったのに!」みたいな葛藤もあるかもしれないけど(笑)、前向きにオバちゃんを受け入れられるならそれもいいと思うんです。

――新作『淑女』でも女性のズ太さが描かれるんですか?

ぺヤング 私が女を描くときには、最終的には絶対ポジティブな方に行くんですよ。いろいろみみっちいイヤなこともあって、ゴチャゴチャしてるけど、それでも「なんだかんだで生きていくよね」っていうところに行き着く。最後は生き延びるっていうず太さをポジティブにとらえることじゃないですかね。ポジティブな人って、オバちゃんでもやっぱりすごくいいんですよ。オバちゃん問題のカギはそこかなと思ってます。
(インタビュー・文=雨宮まみ)

ブス会*『淑女』
劇作家・三浦大輔が主宰する劇団「ポツドール」の特別企画”女”シリーズ(06年『女のみち』、 07年『女の果て』)の脚本・演出を手掛ける溝口真希子ことペヤングマキが2010年新たに立ち上げた演劇ユニット。4月17日から公演される『淑女』では、4人の女による「オバちゃん」小競り合いを通し、女性にとって「オバちゃんになる」とは何を意味するのかを描きだす。
チケットの購入方法など、詳細は公式ホームページ

『natural』

「上戸彩ちゃうで~!」でお馴染みの、オバちゃん界の御大

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