[連載]そうだソルティー京都、行こう

まさにソルティーの見本! 百人一首の施設「時雨殿」の不思議ゲームの数々

 京都は、世界屈指の観光地。そして女の憧れの地である。美味いもん食って、寺社を見て、お洒落して、勉強する。何でもかんでも「京都でする」のが女の憧れなのだ。女性誌はこぞって京都特集を組み、ガイド本や京都観光エッセイがボロボロ出版されている。確かに京都には歴史がある。名産品がある。美味がある……そして誰も取り上げないけれど「しょっぱい京都」もある。

 しかし京都のほんとうの魅力は、こういうソルティーなところにあるのだ。上品ぶっている女性誌では取り上げないほんとうの京都の姿を、しっかり焼き付けて欲しい。そうだソルティー京都、行こう。

【第4回 時雨殿】

 「しょっぱい場所」としてやはり秀逸なのは、第三セクターが運営するアミューズメント施設である。これに関しては京都に限らず、旅先にあれば必ず顔を出すことにしている。地域の利権がどのように働いているかなんてことを考えたりして。まあ、三セクかどうかって、実は公には分からないので、「しょっぱかったら三セク」みたいに判断してるんですが。

 しょっぱいアミューズメント施設の決め手は、以下の通りである。

1.1回行けばおなかいっぱい
2.どうやって楽しんだらいいのか分からない
3.やたら金がかかってることは分かる
4.やたらエレクトロニック
5.必ず等身大人形や模型がある

 1.は、要はリピーターが見込めないということである。「次に来た時にはこう遊びたい」「あれを見たい」「今度は彼氏と来たい」といったように、展示が変わる、大量に展示があって1日で回りきれない、一緒に来る相手によって楽しみ方が変わるなど、一度で満足できない作りになっていなければ、まあ、まず間違いなく一度で「よし、皆まで見た!」という気になれる。

 2~5は、つまりなんだかへたくそな自称ロッカーのライブを見せられてるような、マスターベーション展示なのである。果たして来館者はゴージャスな展示を見たいのか? パソコンでクイズを解かされて、誰と来たら楽しいのか? どのレベルの知識があったら楽しいのか? 分からないものばかり。

 ちなみに前に紹介した「源氏物語ミュージアム」や、鳴門海峡にある「うずの丘大鳴門橋記念館」、「大阪歴史博物館」などがばっちり条件を満たしている。

 今回は、上記の条件をやはりバッチリ満たしている「時雨殿」をご紹介しよう。京都の中でも、ひときわ見所が多い地区である嵐山に堂々たる挑戦をしたのが、この百人一首アミューズメント施設である。

 まずなんだかちょっとしょっぱいのは、この施設、着いてすぐに靴を脱がなければならないこと。靴下一丁で何をさせられるんだろう? 貴重な文化財にお邪魔するとかじゃないなら、いろいろ面倒なので、できれば靴は脱ぎたくないのが女心である。ブーツの中なんか臭いし。見えないからちゃんとした靴下履いてない場合もあるし。まあ、寺を見に行く地域に行く時は、靴を脱ぐ覚悟で出かける場合が多いかもしれないけど。

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最初の部屋では、ずんぐりとした初期DSを渡され、それを存分に使って
楽しむアトラクションがある

 部屋の一面にあるパネル。そう、このエレクトロニックなパネル様のために、我々は土足を禁じられたのである。これが一枚一枚、カルタの札になり、DSで上の句が読まれるので、下の句の札を探して踏む。参加者は、踏んだ札の多い純に順位がつけられる。うわあーい、一度やってみたかったんだ、カルタを足蹴に。途中からゲームに参加したので、どんなにがんばってもビリでしたけど。

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パネルの数は、10×7。百人一首なのに、わあ、ちょっと足りない!

 次にパネルは京都の空撮画像になる。……これがゆっくり移動してて、なんだか視界がぐにゃーっと歪み、気持ち悪い。手元のDSで行きたい場所を指定すると、足元のパネルに現れた鳥が案内してくれるらしい。うわあーい、こんな風に京都の待ちを鳥瞰してみたかったんだ。これなら京都タワーいらずだね! 例えば伏見稲荷大社を選択すると、ピヨピヨと飛びながら連れて行ってくれるのだが、到着しても大した説明をしてくれない。うわあーい、ありがとう案内してくれて。

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すげえ大がかりな割には楽しさはフツーというのが、ソルティー施設
の醍醐味

 この部屋で20分ほど軟禁された後、次の部屋へ。そこには2種類のゲームが楽しめる。ひとつは、百人一首的有名人とカルタ勝負。もうひとつは、ようわからんクイズ。

 もしも読者の方が、百人一首を全部覚えてるという方だったら、ぜひこのカルタ勝負にトライして欲しい。筆者は暗記していてもせいぜい20首程度なので、がんばって中級止まり。悔しくて何度かやったけれど、暗記していないことにはいかんともしがたい。画面の前でがんばっただけでは、どうにも上達が望めないのである。

 テレビゲームの基本として、「それに長く関わって遊んでいればいるほど、確実にステイタス(技術)が上がる」というのがある。やればやるほど、リアル社会とは違い確実に効果が上がるからこそ、ゲームには中毒性があるのだ。つまり数時間程度遊びに来るだけの施設にゲーム器機を置くのは、まーどうなの? ってことなのである。取りあえず家に帰って百人一首を暗記してくるか。

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この大仰な箱の中にモニターがあり、カルタ取りができる。すげえ大が
かりな割には楽しさは......

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カルタ取りに負けると、ものすごく大仰に悔しがってくれる蝉丸

 もう一つのクイズは、これがもう、誰をターゲットにしてるやら。小野小町と誰が付き合っていたかなどという歴史カルトな問題が出るかと思えば、百人一首に見せかけた動体視力チェック、聴力テストなど。うわあーい、クリアしたよ!

 これらのゾーンを楽しんだ後、2階に上がる。角を曲がると、『妖鬼妃伝』(美内すずえ)ばりに恐ろしいシーンに遭遇した。

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ギャーっ! うかつにも叫んでしまった。まだお決まりの人形展示を
見かけていなかったのだから、覚悟していなければいけなかったのに

 歌人たちの歌合わせシーンだそうである。持統天皇、小野小町らが、それぞれの時代衣装を着ている。人形って頭数増えてくるとちょっと怖いよ。

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そしてやはりフィリップ顔、ちなみに右は松尾大社にいるフィリップ松尾

 そしてここに来てようやく、歴史的価値のある物品を見せてくれる。江戸時代からの百人一首を何点も展示してあるのだ。時代ごとの技術や風潮の違いなど、非常に興味深い。特に戦時中のカルタには、さまざまな制約があるようだ。

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うん、ここの入場料800円は、この展示を見るために払ったのだ

 そして昭和期のカルタの解説には「制作は任天堂か」とある。……そうかなるほど、1階の懐かしいDS貸し出しといい、この施設には任天堂の協力があるのだな。

 確か任天堂は、ファミコンを作り出す前はカルタやトランプの会社だったと聞いたことがある。しかし今や世界規模のゲーム大手企業だ。何百万もの子どもや大人を夢中にさせるゲームをふんだんに開発しているはずじゃないのか。ここのゲームを見ると、任天堂があまりのソルティーに飲み込まれたとしか思えない。恐るべし、時雨殿。ちなみに、4月1日からは休館になるとのこと。

和久井香菜子(わくい・かなこ)
ライター・イラストレーター。少女向けのコラムやエッセイを得意とする一方で、ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、就職系やテニス雑誌、ビジネス本まで、幅広いジャンルで活躍中。 『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。

『妖鬼妃伝』

作品が怖いのか、美内センセイが怖いのかという問題もある

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