視聴率ばかりじゃない!

2023年ドラマ「TVer」お気に入り登録「100万突破」は全11作! 『いち花』『真夏のシンデレラ』ほか

2024/01/01 15:00
田口るい(ライター)
森七菜の画像
『真夏のシンデレラ』で主演に返り咲いた森七菜(C)サイゾーウーマン

 2023年もさまざまなテレビドラマが話題となったが、このところテレビ各局は地上波放送の視聴率だけでなく、民放公式動画配信サービス「TVer」の再生数や“お気に入り数”にも注目しているという。

 そこで昨年の連続ドラマの中から、放送期間中にTVerのお気に入り数が100万人を超えた作品を振り返りたい。

目次

・1月期『ブラッシュアップライフ』『100万回 言えばよかった』
・4月期:『あなたがしてくれなくても』『風間公親-教場0-』ほか
・7月期:『VIVANT』『真夏のシンデレラ』ほか
・10月期:『いちばんすきな花』『きのう何食べた?』ほか

23年1月期の冬ドラマ

安藤サクラ主演『ブラッシュアップライフ』

 安藤サクラが民放連ドラ初主演を務めた『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)は、市役所に勤務する主人公が33歳で事故死したのを機に、人生を何度もやり直すタイムリープ系ヒューマンコメディ。平均世帯視聴率の全話平均は6.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と今ひとつだったものの、「TVer」のお気に入り数は100万人を超えた。

 安藤のほか、夏帆、木南晴夏、松坂桃李、黒木華、染谷将太、水川あさみといった実力派俳優が勢ぞろいし、「先が気になる!」と評判だった同作。練りに練られたストーリーと、劇中に散りばめられた“さりげない笑い”が多くの支持を集め、脚本を手がけたバカリズムの大出世作となった。

井上真央主演『100万回 言えばよかった』

 TBS系「金曜ドラマ」枠で放送された井上真央主演『100万回 言えばよかった』は、井上演じる美容院店長、佐藤健演じる洋食店のシェフ、松山ケンイチ演じる刑事が数奇な運命に翻弄されながらも、奇跡を起こそうとするファンタジーラブストーリー。

 放送開始直後は“純愛ドラマ”の印象が強かったが、次第にサスペンス要素が強まり、視聴者の間で犯人の考察が盛り上がった。

 井上にとって約5年半ぶりの民放連ドラ主演で、かつNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の安達奈緒子氏によるオリジナル作品である同作。放送前から注目が集まり、放送中は「TVer」では100万人以上のユーザーがお気に入り登録していた。

23年4月期の春ドラマ

奈緒主演『あなたがしてくれなくても』

 “セックスレス”をテーマにした奈緒主演の連続ドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)。「漫画アクション」(双葉社)で連載中のハルノ晴氏による同名漫画が原作で、ドラマ化にあたって上戸彩主演のダブル不倫ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(14年7月期)のスタッフが再集結した作品だ。

 “セックスレス”というセンシティブなテーマだけに、テレビではなく「自分の好きな時間に、配信でじっくり見たい」という視聴者が多かったと考えられ、それが「TVer」でのお気に入り数100万超えにつながったのかもしれない。

木村拓哉主演『風間公親-教場0-』

 「月9」枠で放送された木村拓哉主演『風間公親-教場0-』(同)は、全話平均9.8%で、人気の同シリーズとしてはいまひとつの結果に。

 一方、「ツッコミどころのオンパレード」「犯行のトリックが稚拙」と話題になり、放送中はX(旧Twitter)やネット掲示板は大盛り上がり。それもあってか、「TVer」お気に入り数は100万超えを達成していた。

 北村匠海、赤楚衛二、白石麻衣ら人気俳優をメインキャストとして起用していたことも話題となった同作だが、複数のメディアが続編に関する情報を伝えており、ファンは心待ちにしているようだ。

橋本環奈主演『王様に捧ぐ薬指』

 橋本環奈が地上波連ドラ初主演を務めた『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)は、主に女性視聴者から支持され、お気に入り数100万を突破。「プチコミック」(小学館)で17年まで連載された同名漫画が原作だ。

 貧乏な家庭に生まれた容姿端麗な羽田綾華(橋本)と、結婚式場を立て直すために好きでもない綾華との契約結婚を選んだ御曹司・新田東郷(Hey!Say!JUMP・山田涼介)の胸キュンなやりとりが、SNS上で大きな話題となった。

23年7月期の夏ドラマ

堺雅人主演『VIVANT』

 全話平均14.3%とヒットしたTBS系「日曜劇場」の『VIVANT』。「TVer」でも同様に勢いを見せ、お気に入り数は100万超え。

 同作は『半沢直樹』シリーズ(同)などで知られる演出家・福澤克雄氏が原作を手がけたオリジナルドラマで、1話につき5000万円とも1億円ともいわれる莫大な制作費も話題に。

 壮大な映像美やスケール感が多くの視聴者の心を鷲づかみにし、さらにSNSでは考察合戦が盛り上がった。

 23年を象徴する人気ドラマだったこともあり、昨年12月31日~今年1月2日に特別番組として“一挙放送SP”が放送されている。

森七菜&間宮祥太朗主演『真夏のシンデレラ』

 森七菜と間宮祥太朗がダブル主演を務めた月9『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)は、神奈川県・湘南海岸を舞台にした男女8人の恋愛群像劇。神尾楓珠、吉川愛、萩原利久、白濱亜嵐、仁村紗和、水上恒司ら、人気の若手俳優が出演した。

 前クールで同枠に放送されていた『風間公親-教場0-』は、毎回「脚本が雑過ぎる」と盛んに指摘されていたが、『真夏のシンデレラ』もまた、ご都合主義の展開に対するツッコミが飛び交う事態に。

 視聴率は全話平均5.7%で、“月9歴代ワースト”を更新してしまった(当時)ものの、SNS上では主人公らの恋愛模様が気になるという視聴者も多く、「TVer」のお気に入り数においては申し分ない数字となった。

松岡茉優主演『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』

 『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)は、19年1月期の菅田将暉主演『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』を手がけたプロデューサーと監督による完全オリジナル作品。卒業式の日に「担任生徒の誰か」に殺害された教師・九条里奈(松岡茉優)が、「30人の容疑者」である生徒たちを再教育するというストーリーだった。

 生徒役として、芦田愛菜、加藤清史郎、窪塚愛流、AKB48・本田仁美、山下幸輝、HKT48・田中美久らが出演。視聴率は全話平均5.9%と振るわなかったが、松岡と芦田の演技力を絶賛する視聴者が続出し、彼女たちの俳優としての実力があらためて評価されることとなった。

23年10月期の秋ドラマ

多部未華子&松下洸平&今田美桜&神尾楓珠主演『いちばんすきな花』

 多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠がクアトロ主演を務めた連続ドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)は、22年の話題作『silent』(同)の脚本家・生方美久氏と同局プロデューサー・村瀬健氏が再タッグを組んだ作品。

 全話平均は5.1%とかなり厳しい数字であったが、「TVer」のお気に入り数では120万を突破していた。

 同作の登場人物は、家庭環境や思春期の体験などが原因で生きづらさを感じており、その複雑で繊細な心理描写がネット上で話題に。各キャラクターに自身を当てはめる視聴者も少なくなかった。

西島秀俊&内野聖陽主演『きのう何食べた?』

 西島秀俊と内野聖陽がダブル主演を務める深夜ドラマ『きのう何食べた? season2』(テレビ東京系)は、よしながふみ氏が「モーニング」(講談社)にて連載中の同題漫画の実写化。同性カップルの弁護士・筧史朗(西島)と美容師・矢吹賢二(内野)が一緒に暮らす日々を、食卓から見つめるというコンセプトで、原作そのものの人気も高い。

 原作に負けず劣らず、実写版も好評で、19年4月期、season1にあたる『きのう何食べた?』が放送された後、20年1月にスペシャルドラマとして復活。さらには21年11月には劇場版も公開されている。安定した人気を誇っているコンテンツだけに、「TVer」のお気に入り数100万超えも納得だ。

ムロツヨシ主演『うちの弁護士は手がかかる』

 10月期から新設された“フジテレビ金曜午後9時枠”で放送されたのは、ムロツヨシ主演『うちの弁護士は手がかかる』。ヒロインを演じた元欅坂46(現・櫻坂46)の平手友梨奈は22年12月より韓国の大手事務所の日本本社「HYBE JAPAN」に所属しており、今作が移籍後初の女優活動となった。

 平手といえば22年7月期の『六本木クラス』(テレビ朝日系)に出演した際、演技力に関して賛否が飛び交っていたが、今作では平手の演技力が上がったとの声も多く、俳優としての評価につながった模様。

 全話平均は6.6%といまひとつであったものの、「TVer」で見る人も多く、お気に入り数は100万を超えた。

 ドラマ放送中の視聴率は振るわなくとも、ネット上で話題になったことをきっかけに「TVer」で意外な健闘を見せる作品も珍しくない。24年はお気に入り数100万超えを達成するドラマは、どれほど誕生するだろうか。


田口るい(ライター)

田口るい(ライター)

HIPOHOP系音楽誌の編集部勤務を経て、フリーランスとしてエンタメ系やカルチャー系の記事を執筆。推しはSixTONESのジェシー。

最終更新:2024/01/01 15:00
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