仁科友里「女のための有名人深読み週報」

ハリセンボン退所は粛清なのか? 吉本闇営業騒動に考える日本芸能界のひずみ

2023/12/28 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

ハリセンボン・近藤春菜の画像
春菜自身が反社とつながっていたわけではないのだが……(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「吉本興業の方々もがんばれ!と背中を押してくださいました」ハリセンボン・近藤春菜
(12月27日、ハリセンボンスタッフ公式インスタグラムより)

 お笑いコンビ・ハリセンボンが、吉本興業を退所し、ベッキーが所属する事務所・GATEへ移籍することを発表した。3年前から近藤春菜は吉本とエージェント契約、相方の箕輪はるかはマネジメント契約という形で活動してきたが、結成20年という節目もあって、足並みをそろえての退社、移籍らしい。

 吉本との契約といえば、12月19日、これまで吉本とエージェントと契約を結んでいたロンドンブーツ1号2号の田村亮が、フリーになることを明らかにした。所属していた「株式会社LONDON BOOTS」はこれを機にたたむという。

 タレントが自分の働き方を選べる時代と見る人もいるだろう。しかし、私には時間をかけた粛清がようやく終わったように感じられた。

 2019年に起きた闇営業問題を簡単に振り返ってみよう。元雨上がり決死隊・宮迫博之や亮が反社会勢力の忘年会に出席。反社とは知らなかった、ギャラももらっていないと主張したが、この言い分だと「売れっ子芸能人が、よく知らない人の会合にノーギャラで行く」という常識では考えられない話になってしまう。

 しかも実際は金銭の授受があったものの、宮迫が後輩に「ギャラはもらっていないことにしろ」と指示をしていたそうだ。忘年会に同席していたカラテカ・入江慎也が解雇されたことで焦った亮は、謝罪会見を開かせてほしいと会社に頼む。

 しかし、会社は有耶無耶にして沈静化させたかったのだろう。岡本昭彦社長は「お前らテープ回してないやろうな」と確認したうえで、「亮、ええよ、おまえ辞めて1人で会見したらええわ。やってもええけど、ほんなら全員連帯責任でクビにするからな。俺にはお前ら全員クビにする力がある」と圧力の行使を示唆された。

 謝罪会見を開くことは会社からOKをもらったものの、いつになるのかはわからない。不信感を抱いた宮迫と亮は、自分たちに弁護士をつけるが、会社にとってはその態度もまた気に入らなかったのかもしれない。会社から、引退するか契約解除するかどちらかを選べという書面が届いたという。闇営業をきっかけに、会社にとって不利益な人は容赦なく斬り捨てるという吉本の無慈悲な“パワハラ体質”が明るみになった。

 会社の姿勢に納得がいかなかったのが、『スッキリ』(日本テレビ系、2023年3月終了)のMC・加藤浩次だ。「芸人も社員も大崎(洋)会長や岡本社長のことを恐れている。これでお笑いなんてできるのか。変わらなきゃダメだ。こんな取締役の体制が続くなら、僕は吉本を辞める」とまて言い切った。これがきっかけとなり、加藤は19年に吉本とのマネジメント契約をエージェント契約に切り替えたが、21年にはそれを終了している。

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