[女性誌レビュー]「an・an」2023年8月23日号

Snow Man・渡辺翔太、「an・an」SEX特集でも性欲を感じさせない“そよ風”インタビュー

2023/08/21 12:11
島本有紀子(ライター)

Snow Man・渡辺翔太、毛だけではなく性欲もない?

 SEX観に迫るインタビューにも、渡辺の“美意識”は現れていました。普段は喜怒哀楽の起伏が穏やかなタイプだそうですが、感情がむき出しになるのはライブだといい、そのスイッチを押してくれるのは「ファンの方の声とメンバー」だと語っています。昨年のSEX特集の表紙を務めたSexy Zoneの菊池風磨は、セックスはライブに似ているという旨を語っていました。渡辺はそのラインを継承しつつ、さらにスマートにアレンジしている印象です。

 理想的なカップル像を聞かれた際にも、「正直なことを言うと一人が好きで、極論、パートナーはいなくていいと思っています」と、疑似恋愛の対象であるアイドルとしての最適解と言っていい回答を叩き出しています。

 これは万が一、これから熱愛報道が出た場合、「パートナーはいなくていいって言ってたのに……!」とファンを奈落の底に突き落とす可能性をはらむ、諸刃の剣な答えのはず。しかし、ここで堂々と恋愛に対して興味がないといった回答を出した彼に、“全身脱毛済み”的な一種の清潔感を感じます。

 また、「渡辺さんの思う最高のセックスとは」との問いには、「お互いの愛を確かめ合う行為ではないでしょうか。それもコミュニケーションのひとつの形だと思うんですけど」と、あえての一般論を繰り出し、生々しさを徹底排除。

 さらに「僕は人見知りだったりとコミュニケーション能力が低い方ですが、“ちょっと笑わせたい”“自分の発言で笑ってもらいたい”という思いは常に持っていて。それは特別な誰かと過ごす時間においても、同じことかもしれません」と続けています。

 渡辺は、性欲はそんなにないけどコミュニケーションとしては頑張るよ……と言っているように感じます。毛・肌荒れ・性欲が感じられない、そよ風のようなグラビアとインタビュー。応援したい欲をそそられる読者も多いかもしれません。

アルコ&ピース・平子祐希の“セックスレス”観をもっと広めてほしい!

 渡辺のインタビューページを“そよ風”とするならば、それと対になるのが「アルコ&ピース平子祐希さんと考えるセックスレス解消の道。」のコーナー。愛妻家として知られ、著書『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)も刊行している平子が、セックスレスのお悩みに熱くアドバイスしています。

 いつものパーマへア&ヒゲでキメた平子は、胸をはだけさせた黒シャツ姿でバラを愛でたり、房のままのブドウにかじりついたり、胸元のチェーンネックレスをいじったりと、クドめのグラビアを披露しています。写っていませんが胸毛が見えてきそうな雰囲気です(渡辺のときと同じく、一応「平子祐希 脱毛」で検索してみたところ、それらしき情報は特にヒットせず)。

 そんな平子ですが、彼の語るSEX観には、「なるほど」と考えさせられる部分も。出会って約20年となる妻に今も片思い中という平子、交際3年でセックスレスという悩みには「好きな人とそんなにも長い時間を共有してきたわけだから、普通に考えたら号泣しながらSEXすべきじゃないのかな」とアツすぎる回答をする一方で、「SEXは日常生活の添え物だからしたくなければしなくて全然いい」と柔軟な考えも持っている様子。「会話とか普段の何気ないやり取りこそ、お互いを知るための大切な前戯だと僕は思っている」との意見を語っていました。

 今年のSEX特集は、水原希子やラランド・サーヤが性についてパートナーと話し合うことの大切さを語るインタビュー、オダウエダによるセルフプレジャーグッズの体験レポ、多様な性愛関係を描いたエンタメリストなど、SEX観を前向きに広げる内容が多かった印象でした。

 平子の唱える“積み重ねる日常生活に勝るセックスはない”という考え方も、「セックスレス=愛が冷めた」「熟年カップル=マンネリ」のイメージを変えてくれる考え方といえるでしょう。もっと広めてください平子! という気持ちになりました。



島本有紀子(ライター)

島本有紀子(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。ファッションページから読み物ページまでチェックし、その女性誌の特性や読者像を想像するのが趣味。サイゾーウーマンでは、「ar」(主婦と生活社)と「Domani」(小学館)レビューを担当していた。

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最終更新:2023/08/21 12:13
であればなべしょ、あの流出騒動はなんだったの……?
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