【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

ヘンリー王子、自伝でドラッグ告白! メーガン妃の迷走際立つお騒がせ夫妻の近況(前編)

2023/07/01 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

ヘンリー王子の自伝、トンデモな中身とは?

――社会活動に熱心だったころの話を聞くたびに、ただのスキャンダルメイカーになってしまった現在との隔世の感がありますね。

堀江 本当に彼らは「芸風」について考え直したほうがよいですよね。昨年、ヘンリー王子が出版して不評を買った自伝『SPARE』は、優秀なゴーストライターとして知られるJ・R・モーリンガーという人物に依頼して書かせた(らしい)本なのですけれど、メーガン妃がエリザベス女王に対面した際、膝を深く折って「カーテシー」と宮廷で呼ばれる古風なお辞儀をきれいにできたので、その場にいた人々から褒められた……などとあるんですよね。

――Netflix社で制作された『ヘンリー&メーガン』という番組において、女王に対するカーテシーや、それを作法通り行う人たちのことを「中世みたい!」と小馬鹿にして、大炎上したメーガン妃なのに? と思う方も多いでしょうが、あれには彼女なりの計算があったのでしょうね。

堀江 メーガン妃の計算では、あの場面では旧弊な王室を攻撃し、若い世代からの共感を呼ぶつもりだったのでしょうが、世界中から叩かれまくったので「やっぱり、私もちゃんとできていたという風に訂正させよう」と変心したのかもしれません。「あまり好んで読書しない」と公言しているヘンリー王子ですし、あの『SPARE』という本のプロデューサーも、メーガンであると見たほうがいいでしょうから、彼女に都合よいようにいろいろと変更されたのだと考えられます。

――しかし、同書において、ヘンリー王子はなぜかドラッグ愛好者だった過去まで堂々と公言、違法薬物に厳しいアメリカでの生活ができなくなるのではないか? という報道もありました。

堀江 ドラッグの使用という過去のあやまちを告白して、王族とて一人の弱い人間だと訴えたかったのでしょうか。しかも、かつて非常に人気があったドラマ『フレンズ』に出演していた女優コートニー・コックスの邸宅にヘンリー王子が宿泊して、そこで怪しいキノコ入りのチョコをパクついて、自分の顔が歪んで見えるほどのドラッグ体験をした……とか、あれだけ自分のプライバシーにうるさいのに、他人のプライバシーには無頓着なところには失笑してしまいます。

 このようなスタンスの『SPARE』は英語圏内において、発売1日で40万部も売り上げるなど好成績だったようですが、ヘンリー王子の好感度はさらに下がってしまいました。これもおそらくメーガン妃のミスプロデュースだったように思いますが、そのメーガン妃がヘンリー王子と距離を置き始めたという報道が、6月になってから出始めているんですね。非常に興味深い話なので、深掘りしようと思います。

 次回に続きます。

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『隠されていた不都合な世界史』(三笠書房)。

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Twitter:@horiehiroki

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最終更新:2023/07/01 17:00
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