知られざる女子刑務所ライフ152

「生活保護の手続き方法」指導も! 今どきの刑務所、元女囚がうらやましがる社会復帰プログラム

2022/09/18 16:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)

出所後の生活に備える社会復帰のプログラム

 悟れても社会になじめなければ、またムショに逆戻りもありえます。家族や友達のサポートは絶対に必要ですが、政府の更生支援も注目されてますね。

 例えば、施行はまだ先ですが、懲役刑と禁錮刑を「拘禁刑」にして、刑務作業だけやなしに社会復帰のプログラムを増やすそうです。

 これに合わせる感じで、2020年から札幌に「女子依存症回復支援センター」(札幌刑務所支所)ができました。

 これは今どきのPFI刑務所(民間事業者のアイデアやノウハウを活用しつつ、国と事業者が協力して運営を行う刑務所)みたいな感じで、カギがない冷暖房完備の個室やそうです。刑務作業もビニールハウスのイチゴ栽培とかで、かわいいし、出所後に自立した生活ができるような「生活保護の手続き方法」についての指導とか、依存症の人たちのミーティングなどが受けられるそうで、うらやましいですね。瑠美も行きたかったです。

 出所しても寂しかったり、働けなくてお金がないと、つらいから売春して、そのお金でクスリに手を出すこともザラです。そうならないように、ムショにいるうちから自分で自分をコントロールできるようにして、社会復帰に備えるんですね。

刑務官がちゃんと指導できる時代に

 あと、山口県美祢市のPFI刑務所「美祢社会復帰促進センター」では、「26歳未満の女性の受刑者」17人を2つに分けて集中的に指導する「若年受刑者ユニット」をスタートさせてます。「若い人優先」ですか、そうですか……と思わないでもないですが、いつかは全員を対象にしてほしいです。

 懲役(受刑者)は、「普通」なら当たり前にできること、例えば「順序立てて話す」とか、「すぐにキレない」とかができないし、仕事の探し方とかもわからない人が大半です。だいたい成育環境の問題ですが、これやと社会にはなじみにくいです。

 今は懲役も少ないから、刑務官がちゃんと指導できるようになりつつあるのでしょう。いい時代になりました。

 瑠美もそうでしたが、更生には時間がかかります。皆さんも、がんばってる人を応援したってくださいね。

中野瑠美改め瑠壬(作家)

中野瑠美改め瑠壬(作家)

1972年大阪・堺市生まれ。覚せい剤取締法違反で4回逮捕され、合計12年の懲役を経験。出所後は、刑事収容施設への差し入れ代行業や収容者と家族の相談窓口などを行う。現在は堺市内で「Night Space祭」を経営。著書『女子刑務所ライフ』(イースト・プレス)がある。

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最終更新:2022/09/18 16:00
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