仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

千原ジュニア、渡部建に「土下座させる」発言は時代にマッチしていない? 芸人としての「覚悟」に思うこと

2022/02/28 13:00
仁科友里(ライター)

千原ジュニアの発言から考える、現代における「芸人」という存在

 たとえば、渡部が舞台の間にちょっと笑顔を見せたとする。それを悪意的に解釈して、「渡部は終始ヘラヘラしていた」とネット上に書き込まれたりしたら、渡部のイメージはますます下がって、やられ損だ。情報の統制という意味で考えるなら、ここはおとなしくしているほうが賢明ではないか。

 また、ジュニアの「芸人やったら、覚悟を決めて来いよ」発言で考えさせられたのは、現代における「芸人」とはなんだろう、ということだ。渡部へのコメントから解釈するならば、ジュニアの言う芸人とはおそらく、人に笑われたり、土下座させられることを恥と思わない人のことを指すのだろう。

 しかし、その考えは、今の時代とマッチしていないと思うのだ。

 今や芸人は、「人気商売」と呼ばれるほぼすべてのジャンルで活躍しており、芸能界のオールラウンドプレーヤーといえるだろう。ワイドショーのコメンテーターとして出演することは当たり前だし、現在放送中のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』には、おいでやす小田が、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』には、わが家・坪倉由幸やティモンディ・高岸宏行が出演している。

 さらに、出版不況と言われて久しい中でも、ハライチ・岩井勇気のエッセイ集『僕の人生には事件が起きない』(新潮社)はベストセラーを記録。ピース・又吉直樹は小説『火花』(文藝春秋)で第153回芥川龍之介賞を、オードリー・若林正恭の旅エッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(KADOKAWA)は第3回斎藤茂太賞を受賞。阿佐ヶ谷姉妹によるエッセイ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(幻冬舎)も好評で、昨年、NHKでドラマ化された。

うたがいの神様
「劇場は治外法権」と思ってるとこあるよね、芸人って
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