コラム
【サイジョの本棚・打ち合わせ編】

「自分よりやせてるか・太ってるか」ジャッジ地獄/どういう「おばさん」でありたい?/男の弱音って……【サイ女の本棚】

2021/07/17 14:00
保田夏子
(C)サイゾーウーマン

ここはサイゾーウーマン編集部の一角。ライター保田と編集部員A子が、ブックレビューで取り上げる本について雑談中。いま気になるタイトルは?

◎ブックライター・保田 アラサーのライター。書評「サイジョの本棚」担当 で、一度本屋に入ったら数時間は出てこない。海外文学からマンガまで読む雑食派。とはいっても、「女性の生き方」にまつわる本がどうしても気になるお年頃。趣味(アイドルオタク)にも本気。。

◎編集部・A子 2人の子どもを持つアラフォー。出産前は本屋に足しげく通っていたのに、いまは食洗器・ロボット掃除機・電気圧力鍋を使っても本屋に行く暇がない。気になる本をネットでポチるだけの日々。読書時間が区切りやすい、短編集ばかりに手を出してしまっているのが悩み。

弱音を吐いたら、なめられる?

編集A さて、次の記事で取り上げる本はどれにしようか? そういえば、ジェンダーを特集した「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)6月12日号の売れ行きが思わしくなかったんだって。

保田 そのメイン読者層である中高年男性って、「男らしさ」が刷り込まれすぎてて、そもそも男性性の何が問題なのか、わからない人も多いんじゃないかな。

編集A でも、ジェンダーの問題に向き合うことは、男性の救いにもなるはず。無意識に「男らしさ」に縛られて、自分の首を絞めているような男性っているじゃない。もはや“呪い”といってもいいよ。

保田 あっ、『牧師、閉鎖病棟に入る。』(沼田和也、実業之日本社)っていうエッセイで、まさにそんな状況が描かれてるよ。著者は牧師で、幼稚園も運営していた男性なんだけど、経営のストレスなどが重なって対人トラブルを起こし、精神科の閉鎖病棟で過ごすことになる。そこで治療を受けながらさまざまな患者と触れ合って、「男らしい」人生観が変わっていく経過が丁寧に書かれてるんだ。

編集A 近年は『さよなら、男社会』(尹雄大、亜紀書房)、『さよなら、俺たち』(清田隆之、スタンド・ブックス)など、日本社会に巣くう“ホモソーシャル”に切り込んだエッセイも多いよね。男性が不要な呪いに気づくのはいいけど、「男だってつらい!」の大合唱になると、女性としては違和感ありありになっちゃう。

保田 でもこの本は、そのあたりを自覚しているかも。著者は日本国内の自殺者は男性の割合が多い、という統計を引用しながら「これをもってして『女性よりも男性のほうが苦しんでいる』とするのは早計である」「男らしさを内面化してしまった男性は、(わたしもそうであったが、)そもそも自分が死にたい、ああ死ぬなと思うほどに追い詰められるまで、自分が苦しいということすら自覚できない」と自身の療養時を振り返りながら考察していて、一理あるなって。

編集A ちょっと言葉が悪いけど“素直に弱音を吐いたら、なめられる”みたいな意識は、確実に男性に強いよね。

保田 そうなんだよね。「今は誰にでも『今は調子が悪い』といえる」「ひどく傷ついた時は一人で抱え込むことは絶対しないという知恵」を得たとつづられていて、それって、もう義務教育に組み込んでもいいくらい基本的な生きる技術では……と思ったよ。あと、同じ患者として出会った少年たちへの視線が温かくて、つい彼らの将来に思いをはせてしまう。「男らしさ」だけでなく、閉鎖病棟の在り方や、精神疾患を持つ人に抱きがちな偏見を解いてくれる本でもあると思う。

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