コラム
【連載】わが子から引き離された母たち

車に監禁されて離婚届にサイン! それでも、元夫との共同養育がうまくいっているワケとは?

2021/07/17 16:00
西牟田靖

――離婚が成立したんですね。で、その後はどうなりましたか?

 別居して2カ月ぐらいたったころから、Bから「戻ってこいよ」と、しばしば連絡がありました。その都度、「いや戻らない」「いや戻ってこい」というやりとりを繰り返しました。しまいに、彼の連絡は脅迫めいたものになっていきました。

――離婚が成立しているのに、未練がましいですね。

 それで私、弁護士に相談したんです。「元夫がストーカーみたいになっています。どうすればいいでしょうか?」って。そのとき弁護士が提案してきたのが、親権者変更の申し立てでした。

――その後は、弁護士経由での連絡ですか?

 そうです。だからその前に、Bへメールで通告したんです。「月曜に調停を申し立てるので、今後は、弁護士に連絡してもらえますか?」と。

――Bさんの反応はどうでしたか?

 メールをした金曜日、私は娘と一緒にいたんです。もちろん私はBの元に娘を送り届けるつもりでした。でもBは、娘をそのまま奪われると思って、かなり焦ったのでしょう。Bから警察に通報されました。

――調停が始まる前に、娘さんを取り返そうと思ったんですね。

 調停の3日前ですから、間違いないです。それで、メールした金曜日の午後のうちに、突然、警察が来たんです。「誘拐だということで、お父さんが娘さんを探されていますけど、娘さんはいらっしゃいますか?」って、玄関先で言われました。突然だったのでびっくりしましたし、怖かった。それでも何とか「います」とドア越しに答えました。すると、警察に、「今日、娘さんを返さないと、お母さんが逮捕されます。そうなると本当に会えなくなってしまうから、いったん返してください」と通告されました。

――従わざるを得ないですよね。

 そうなんです……。それで、弁護士と一緒に警察署に出向いて、話し合いをすることになりました。3歳(当時)の娘は、そのときの状況の深刻さがわからない。「明日からママにしばらく会えないよ。バイバイなんだよ」と伝えたとき、娘はずっと不思議そうな顔をしてました。いつもなら「また明日ね!」とパパに引き渡した娘に笑ってバイバイをするのに、私はボロ泣き。それでも娘は、これからもずっと私のアパートに来られると信じていたはず。別れるとき、「ママまたね」って手を振ってくれましたから。

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