【連載】わが子から引き離された母たち

車に監禁されて離婚届にサイン! それでも、元夫との共同養育がうまくいっているワケとは?

2021/07/17 16:00
西牟田靖

1週間ごとに娘が父母の家を行き来する共同養育に

――裁判所での結果はどうでしたか?

 損害賠償は私が勝ってBが負けました。再調停はなかった。「これ以上、面会交流を減らせと言っても、受け付けてもらえない。主張が全部通らない」ということがわかって、Bが折れたんです。

――裁判所が、そこまでの判断をしてくれるんですね。驚きました。

 担当してくれたE先生いわく、「最初の時点で月4回の面会交流というのを債権債務にしたこと、それが何より大きかったと。さらに証拠や実績を積み重ねてきた。だからこそ、ここまで来られたんだよ」と。

――では、1週置き交代の完全な共同養育は、どのように実現したんですか?

 娘が小学2年生だった2018年10月に裁判が結審、その翌月の11月から始まりました。というのも、娘をBの実家の玄関前まで連れていったとき、「やだやだ」と言って、娘は入りたがらなかったんです。なのでインターフォン越しに伝えました。「娘の気が乗らないみたいだから、もう一日様子を見させてくれませんか?」と。

――Bさんは、かなり怒ったのでは?

 それどころか、「じゃあ、わかりました。明日まで待っています」と、すんなり応じたんです。しかも、そういったことが3回続いたんですよ。

――野球でいえば、まさにスリーアウトですね。

 その日の夜、E先生と相手方の弁護士さんが協議をして、「娘さんの希望通り、1カ月間試験的に1週間交代という形で行ってみましょう。ただし、この期間のことを親権変更に持ち出さないことが条件」という内容で急きょ、合意書を作成しました。

――こうして、完全な形の共同養育になったんですね。ちなみに、それはいつからですか?

 2018年の11月に裁判が終わって、翌12月から共同養育が始まっています。そのとき私のアパートは小学校から1キロの地点、Bの実家は学校から北2.5キロでした。

――夫婦同士が話し合って1週間ごとに決めたと思っていたので、すごく意外でした。

 Bが自分から率先して進めていたら、こういう形にはならないです。一方で、彼は長いものに巻かれやすい体質の人だから、裁判所や弁護士という絶対権力には従うんです。でも、もしかしたら、娘のことを考えられるようにはなってくれたのかな。

――週替わりでそれぞれの家に行って、娘さんは混乱したりしませんか?

 子どもは柔軟なので、持ち物を個々の家にそろえておけば、何の問題もなしです。忘れ物したとき、「取りに行かなきゃいけない」って不満を言うぐらいかな。

(西牟田靖)

最終更新:2021/07/17 16:00
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