『おちょやん』解説

『おちょやん』成田凌演じる「天海天海」の史実がひどすぎる! 不倫妊娠だけじゃないヒロインへの裏切り

2021/04/22 13:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

まったくの嘘を語る浪花

 浪花といえば便所に何かと縁がある人なんですね。史実では「おちょやん」として、芝居茶屋で地獄の児童労働を経験していた頃も、便所で首吊り自殺をしようとしたことがありました。

 でも、結婚を決意するところまで便所がらみとは……。こういうのがイヤだったのか、浪花は渋谷との出会いや結婚に至った理由、2人で喜劇をやっていたことについても、無言を貫いたり、まったく別のことを事実として語っていたりするわけですね。

「劇場のおどけた看板を見て、(喜劇は)よけい大きらいだったんです。(略)主人にくっついてやむを得ずきらいな喜劇に私も入れてもらったんです」(昭和31年11月16日「東京新聞」夕刊)

 などと浪花は言っていますが、これは史実ではありません。

「ヨソで子どもだけは作らないでほしい」という浪花の思い

 渋谷の女性関係は結婚後も激しいものだったのですが、浪花は役者の女房としてそれを耐えていたそうな。しかし、「ヨソで子どもだけは作らないでほしい」と渋谷に言っていたようなんですね。

 渋谷と浪花は約20年の結婚生活の間に子どもを授かれず、結局、渋谷が44歳のときに劇団の若い女優・九重京子(後の渋谷喜久恵)に手出しをして妊娠させ、初めてパパとなった事件をきっかけに、2人は破局するのです。

水のように
こんな外道が称賛される世の中、まさに男社会
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