コラム
【連載】わが子から引き離された母たち

「元夫には再婚してほしい」子どもを連れ去られ、共同親権運動を行うシングルマザーが今思うこと

2021/03/30 21:00
西牟田靖

――元旦那に対して、今ははこうしてほしいとか、今までの経緯について彼に対して思うことはありますか?

 好きだった人とか一緒に生活しようと思った人に、なんでここまで嫌われて、人格を傷つけられなきゃならないのかって思います。復縁したいとか、一切思わない。彼のことは正直軽蔑するけれども、親として、共同養育は一緒にしたいです。彼がされてきたように、母親という存在を子どもから消すことは子どもの利益にならないからです。

 毎週末、タッパーに詰めた料理を持って行ったりして共同養育の下地はもうあるので、「子どものために一緒にやりましょうよ」「子どもたちに母親が必要なんだよ」って言っています。だけど、私がどんなに言っても、彼には響かないんですよ。彼自身の生い立ちを否定されてしまうことになるから、言われたくないでしょう。

――彼は、由実さんのことを、子どもたちにどう伝えているんでしょうね?

 娘に、この間言われたんです。「Y(娘の名)は何も決められない。パパが決めるから」って言われてるって。それを聞いて私、直感したんです。子どもたちは空気を読んで、自分で意見を言うことをしなくなっていると。おそらく「家の中ではママの話はしない」「ママの家には泊まれない」と言われているんでしょう。息子は「家の中では、ママへの手紙は書けない」と言っていました。かつて、彼が義父に強いられたように、母親の話題は禁句なのだと思います。

――彼が押し黙ることで、子どもたちに「それは言っちゃいけないことなんだ。考えちゃいけないことなんだ」って思わせる。そうした周りを従わせるやり方で子育てをしていると。

 そうなんです。義父から彼に対して行われた子育てが、子どもたちに対して繰り返されている。それがすごく嫌。だから私は子どもたちと頻繁に会うことで、わだかまった子どもの気持ちをリセットしなきゃって思ってて。「2人のことはパパもママも愛している。大人だって間違えちゃうんだよ」と子どもたちに伝えています。母親のことは考えていいんだよって。

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