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志村けんの「セクハラコント」に女優は“抵抗”していた…ハラスメントの概念がなかった時代のテレビ

2020/11/08 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 女優のいしのようこが3日深夜に放送された『志村友達』(フジテレビ系)にゲスト出演。3月に新型コロナウイルスによる肺炎のため死去した志村けんさん(享年70)とのコントにまつわる本音を明かした。

 いしのは1987年からスタートした『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)に、志村さんの相手役として出演。コントでは、志村さんの娘・おハナ坊役や、志村さんの代表的キャラクター“変なおじさん”にいたずらされるOL役などを演じていた。

 この日の放送では、いしのと志村さんとの親子コント「おハナ坊」の初回を放送。共演者に「これは嫌だなというコントはなかったでしたか?」と聞かれたいしのは「しょっちゅうありましたよ」「恥ずかしいこと言わされたりとか。『それはもう恥ずかしいから嫌だ』と何回も抵抗した覚えがあります」「(抵抗しつつも)最終的にはやっていました」と語った。

 また、当時は粉やパイ、水などをかぶる体を張ったコントも「いっぱいやった。多分、やってないことないんじゃないかな」と振り返り、粉などの汚れを落とすためにシャワーを浴びながら「何やってんだろう」と我に返ったこともあったと明かしていた。

 『志村けんのだいじょうぶだぁ』などが放送されていた昭和から平成初期までは、コントのみならずドラマやCMでも女性がトップレスや全裸に近い状態で登場することは当たり前で、過激な下ネタや差別的表現、セクハラじみた描写も珍しくなかった。また、いしのが語っていたように「女性が下ネタを言う」ことも笑いのネタになっていた時代だ。

 そうした昭和ならではの価値観は、平成を通じて変容。人権という意識を理解する人の増えた現代では、「その価値観を受け入れる必要はない」と一般視聴者から声が上がることも多くなっている。昨年1月に『志村けんのバカ殿様』(同)で、水着姿の女性が志村さん扮するバカ殿の“肉布団”になるシーンが放送された際には、ネットを中心に「女性蔑視だ」として批判の声があがっていた。

 反動のように「昔はなんでもありで面白かった」「規制しすぎてもテレビがつまらなくなる」と嘆く声は未だにあるが、テレビ業界が“なんでもあり”だった頃には、いしののようにセクハラめいたネタを強いられ、理不尽な我慢を余儀なくされたケースが横行していたのだろう。

篠原涼子はコントで股間に顔をうずめられる
 女優の篠原涼子も、1991年からスタートしたバラエティ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)のコントで、今田耕司に四つん這いの状態でお尻を叩かれ、臀部や股間に顔をうずめられたり、さらには「だから本番前に『生理か』って聞いたんや」とのセリフを浴びせられていた。それだけでなく、東野幸治やほんこんにキスされたり、松本人志に叩かれたり、浜田雅功に胸を揉まれる場面もあった。

 篠原は2018年9月放送の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)で当時について振り返っており「(スタジオにいた人たちが)笑ってくれるとうれしい」と前向きに取り組んでいたと言いつつ、「嫌だけど……」「東野さんいきなりぶちゅーってきたから、あの味は今でも忘れられない」と本音も明かしていた。

 ただ、これらは過去のことではあるものの、では今のテレビ業界でハラスメントはNG担っているかと言えば微妙なところだろう。セクハラを受け入れたくない、断りたいと思っていても、タレント本人が「断れば面倒な奴だと認定される」「二度と番組に呼ばれないかも知れない」と考えて我慢したり、事務所が無理強いをしたりということが無いとは言えないのではないか。特に若いタレントが演出の要求を断れば「生意気」「わがまま」などと(視聴者からも)叩かれることは目に見えている。まだまだ変わるべきところはたくさん残されていると言えるだろう。

最終更新:2020/11/08 20:00
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