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竹内結子さんを偲び、思い出を語る。「竹内結子がいればこの作品は完成する」と信頼された稀有な俳優

2020/10/04 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 竹内結子さんの突然の訃報を、まだ受け入れられない人は多いと思います。エンタメ記者として竹内さんのデビュー当初から何度も取材を重ねてきたアツもその一人。故人を偲び、思い出を綴ります。

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 皆さん、ごきげんよう。アツこと秘密のアツコちゃんです!

 9月27日未明、女優の竹内結子さんが40歳の若さで亡くなられました。所属事務所のスターダストプロモーションの公式サイトで、9月30日に家族葬が営まれたとの発表があり、「あ〜、やっぱり本当なんだ」との思いを強くしたのだけれど、でもでもまだ信じられないという気持ちでいっぱいです。あの屈託のない笑顔がもう見られないなんて。

 彼女が女優として、また一人の人間としてどれだけ愛されていたか。スターダストが発した「竹内結子は弊社にとって、永遠にかけがえのない大切な所属女優であることに変わりありません。これからもその存在に寄り添っていく所存でございます」のコメントでも分かるように、本当に誰からも愛されたチャーミングで優しい唯一無二の素敵な素敵な女性でした。

「映画くらい、ちゃんと一人で行けますよ〜」
 アツが初めて結子ちゃんを単独インタビューしたのは1998年に放送された連ドラ『凍りつく夏』(読売テレビ制作・日本テレビ系)に出演された時のこと。その当時“売り出し中の気になる若手女優さん”を何人か取材していたのだけど、まだ18歳だった幼顔の結子ちゃんは若さゆえに頬が若干ふっくらしていて、テレビで見ていて正直「売れるのかしら?」と思っちゃって半信半疑のまま、取材に向かったのを覚えているわ。

 インタビューは東京・恵比寿のスターダスト内の一室で行われ、カメラマンも「どんな子だろ?  大丈夫かな?」なんて心配しながら撮影スタンバイを始めてね。というのも、ドラマでは影のある役柄を演じていたから「もしや暗い子?  だったらどうしよ?」と不安になりつつ準備をしていたからなの。だけどそこへ、カラッとした明るい響く声で「 お待たせしましたぁ」と言いながら入ってきたのが結子ちゃん。

 一目見て「何だ? この透明感のある可愛い子は?」とびっくり仰天しちゃって。さっきまで言いたい放題だった自分たちのことは棚に上げ、急転直下「やだ、ちょっとテレビ写りが悪いだけじゃない?  こんな美人は滅多に出て来ない。絶対売れる!」と確信しちゃって、いきなり応援団に大変身。一瞬で射抜かれて魅了されるとはこのこと。初めて会ったその日からすっかりマルっと“竹内結子推し”になったの。

 初対面時はまだ未成年だったのにハキハキと明朗快活に話してくれて、とにかくボキャブラリーが豊富で、どんな問いに対しても的確な答えを返していって。何より大きな声で何でも明るく「アッハッハ」と笑い飛ばしていく姿が豪快で印象的で、好きにならずにはいられないキャラクターだったのよ。

 そういえば初めてインタビューをして、少し経った頃だったか。もうかなり結子ちゃんの顔と名前が世間に知られてきていた時だったのだけど、偶然にも恵比寿のカフェで結子ちゃんと遭遇したの。

 アツたちは街で女優さんやタレントさんたちと会っても話しかけず、目が合っちゃったら会釈ぐらいはするけど、基本はスルーを心がけているのね。だから後からお店に入ってきて窓際に座った彼女を見かけて「あ、結子ちゃんだ 」と思ったんだけど、資料に目を通していたアツは知らんぷりしてそのままお茶していたわけ。

 だけど、目ざとく見つけてくれたのは彼女で、ふわりといい匂いをさせながら目の前の席へ。「あれ〜、どうしたの?」と聞くと「今日は事務所で打ち合わせがあって。映画を見るまで時間があったから」とのことで、これから見たかった映画を見に行くと言うの。人気が出てきたこんなにも可愛い若手女優がたった一人で映画に行くと聞いて、心配してつい「大丈夫なの?」と聞いたら「映画は一人で見るものだし、ちゃんと一人で行けますよ。友達と時間が合わない時も多いし。それとも一緒に行きます?  でもこれからお仕事でしょ?」と言い当てられちゃった。テーブルの上には今からインタビューする人の資料が並んでいて、それを素早く発見して察知したのね。

 それからしばし「大好きな女流作家の話」で大盛り上がり。年齢も職業も何もかもが違う10代の女優さんと好きな作家、それも女流作家が同じだったなんて。まぁよくある話かもしれないけど、結子ちゃんが目をキラキラさせて「〇〇さんの新作がすごくよかった」なんて話してくれて、「あ、まだ読んでない」とか「これは読んだ?」とか「最近、〇〇さんの本を読み始めたらハマっちゃって 」とか、もう女子会ノリで話し込んじゃって、本当に楽しくてね。あやうく次の取材に遅れそうになっちゃったぐらい。

「若いけど“姉さん”って感じで、すごく頼れる可愛い人」
 あれから何度も何度もインタビューをさせていただきました。ドラマや映画に出演すれば折に触れ取材に行ったけど、彼女はいつどんな時も変わらず、丁寧に受け答えをしてくださって。どんどん売れっ子になって、実力をつけて演技派女優と呼ばれるようになっても、姿勢はいつも同じ。演じる役について深く掘り下げていって、真摯に取り組んでいて。

 共演者の皆さんやスタッフにもさり気ない気配りをしていて、決して驕り高ぶることなく。彼女がいる現場はパッと明るくなって笑い声が聞こえてきて、相手役の俳優さんたちからも「若いけど“姉さん”って感じで、すごく頼れる可愛い人だよ」と評判でね。たとえばちょっと面倒臭いと言われるいわく付きの俳優さんが共演者として名を連ねていても、その人だって「竹内結子がいればこの作品は完成する」と断言していたくらい。仕事仲間みんなから信頼されていた数少ない女優さんだったの。

 誰に対しても裏表なく接してくださって、まさに「凛とした女性」で「凛々しい女優」で、そして「家族思いの愛に溢れた優しい母親」だったと思う。11月生まれのご長男の成長を喜びつつ、毎年、家族で行きつけのレストランでお誕生日のお祝いをするのが楽しみだって言っていたのが昨日のよう。ううん、もうやめよう。後ろ向きなことを言ったら怒られちゃうもんね。

 結子ちゃんとたわいもない女子トークをした思い出は生涯、忘れません。今はどんな表現も似つかわしくないような気もするし、綴る言葉もこれ以上は何も見つからないけれど、どうかゆっくり休んでね。何事にも全力疾走&全力投球して、誰より頑張ってきたんだから。貴女がいてくれただけで……もう、その存在に感謝よ。感謝しかないわ。竹内結子という女優はみんなの心の中で必ずやずっとずっと生き続けるだろうしね。

 本当にどうもありがとう、結子ちゃん。いずれ私たちの大好きな女流作家さんの新作、持っていくから待っててよ。感想、また聞かせてね。

最終更新:2020/10/04 20:00
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