『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』“家族結束”を説き、子どもの生き方を奪う父親「お父さんと13人の子ども 前編~7男6女 闘う大家族~」

2020/07/13 18:13
石徹白未亜(いとしろ・みあ)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。7月12日は「父さんと13人の子ども 前編~7男6女 闘う大家族~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 大阪の7男6女の大家族・澤井家。一家は、梅田のビル地下街で居酒屋を経営している。父の淳一郎は居酒屋を経営しながら家事、育児にも協力的で、休日は子どもたちの空手の応援にも駆けつける。しかし3年前、淳一郎が跡継ぎにと決めていた長男が何も言わず突然家を出ていってしまう。また、進学校に通い成績優秀の三男も、家の事情に鑑みて大学進学を諦めるが、居酒屋で仕事をすることに迷いを感じている。それを察した淳一郎は三男を叱責、100万円を渡し「旅させたほうがええんちゃうか」と突き放す。そんな中、新型コロナウイルスの影響が、澤井家の店も直撃してしまう。

出て行った長男、自分の意見を言えない三男

 淳一郎は子どもたちの面倒をよく見ている。大阪・梅田という繁華街で居酒屋を18年続けている点からしても、頭のいい人なのだろう。しかし、それでも大家族の親は嫌いだ、と淳一郎を見てあらためて思った。

 淳一郎は、進学を諦めて、居酒屋で働き続ける生活に疑問を抱く三男を、家族全員が揃う場で糾弾する。なぜ、父と息子二人きりで話をせず、「家族会議」の形をとるのだろう。すでに店で長年働いている兄や姉を前にし、三男が「店以外で自分の可能性を試したい」などとは言えないだろう。その糾弾の場で、「家族団結の必要性」を淳一郎は説き、三男個人の問題を家族の問題にすり替えていた。淳一郎は、子どもを「家族」としては見ているが「個人」としては見ていないように思えた。

 さらに気になるのが、淳一郎の話し方だ。家族会議では、ひたすら淳一郎が話し続け、たまに子どもたちへ「どっちだ?」で迫る。それに対し「違う!」「そうだ!」と、淳一郎が判断する形で進められていた。「子どもの話を聞く」という選択肢が、そもそも淳一郎にはないのだろう。これでは「会議」でも「話し合い」でもなく「演説」だ。

 これでは子どもは、この人になにを言っても無駄だと諦めてしまうように思う。大家族の親を見ていて、いつも思うのは「子どもに諦めさせるスキル」の高さだ。これまで『ザ・ノンフィクション』で見てきた大家族の親は、ここに関して皆判で押したように同じ性質がある。諦めることに慣れる前に家を出た長男を私は応援するし、三男も迷いがあるなら家から出ていったほうがいいように思う。

ルポ父親たちの葛藤
「男」「家族団結」「精神論」戦前の家族観がまだ生きてた

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