『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』仕事ひとすじの夫を支えた妻の決断「真夜中の洋菓子店 ~ケーキよりも大切なもの~」

2020/07/06 19:05
石徹白未亜(いとしろ・みあ)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。7月5日は「真夜中の洋菓子店 ~ケーキよりも大切なもの~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 奈良公園からほど近く、住宅街の中にある洋菓子店「にこにこ庵」。店主、木村洋司はもともと中華料理のコックを目指していたが、生きた魚介をさばいたりすることができず、洋菓子職人へと転身。2005年に、自分の店「にこにこ庵」をオープンさせる。作ったケーキは「自分の子ども」だと話すほどケーキに愛情を込める木村は、ケーキが完売するまで店を閉めないという営業方式をとっているため、ほぼ毎晩、厨房の床に段ボールを敷いて寝る生活を続けている。

 妻の美絵子は介護職をしながら、店の経理や店にこもりっきりの木村へ食事を届けるなど、陰ながら夫を支えてきた。しかし、木村は良質な材料を使ったケーキを安価で提供してしまうという商売っ気のなさで、儲けはほぼない。そんな木村の首にはヘルニアがあり、医師からは手術も勧められている。2年前に美絵子は、木村に店を辞めてほしいと切り出した。

 20年4月、木村はにこにこ庵の5月末の閉店を決断する。同じ頃、新型コロナウイルスの影響が奈良県にも及んでいたが、にこにこ庵には閉店を知った常連客が日々足を運んでいた。最終日には雨の中、一日中傘の行列が続いていた。そして閉店後、美恵子は「よう頑張った」と木村に声を掛け、木村は「ありがとう」と頭を下げる。その後、木村は後輩から声がかかり、洋菓子職人として再出発する。

家の20年ローンとヘルニアの夫

 美絵子は木村に店を辞めてほしいと進言し、番組のナレーションではその真意を「もっと家庭を顧みてほしい」といったニュアンスで伝えていた。しかし番組を見る限り、妻の本心は、別のところにあるように思える。朝から晩まで働き続ける夫の健康面、そして5年前に買った新居の20年ローン、この2点が心配の種だったように見えた。

 木村家は共働きだが、にこにこ庵は採算度外視な経営が続いている。そもそも、30代の共働き夫婦の20年ローン返済と、50代の共働き夫婦の20年ローン返済は、意味合いが大きく違う。どちらかがローン返済まで働けなくなる可能性があり、さらに木村は首にヘルニアがあるのだ。そのままでは、働けなくなるリスクが高いだろう。家を買うにも事情があったのだろうが、中高年になってから高額の買い物をすることについて考えてしまった。

 ケーキ作りが生きがいであろう夫に、撤退を勧めるのは悪妻とも捉えられかねないが、番組を見る限りそんなことはない。美絵子はほかに仕事がありながらも献身的に夫を支え、木村夫妻は世の50代夫婦にしてみれば、かなり仲がいいように見えた。朝から晩まで店にいた木村は、子どもたちとちゃんと向き合う余裕も持てず、美絵子にしてみれば積年の恨みになってもおかしくないようにも思えるものの、木村を心配こそすれど恨みがあるようにはとても見えない。

 番組の冒頭で、美絵子は店にこもる木村へ夜食を差し入れていた。相手を恨んでいたり愛想を尽かしていたら、そもそも夜食など持っていかないだろう。そして、にこにこ庵の最終日には、木村のシェフコートの首元に、赤いスカーフを巻いてあげていた。そうした行動の端々に夫への愛情を感じるのだ。

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