コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

「もう最悪です」中学受験生の母が語るコロナ禍の悲劇……自宅はゲーム天国、悲惨なテスト結果に“虚しさ”も

2020/06/27 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 一方でこんな話もある。祥恵さん(仮名)は、今回のコロナ禍は逆に良い出来事になった面もあるという。

 専業主婦である祥恵さんは、夫と小学6年生の佳祐君(仮名)、小学4年生の妹の4人家族。医師である夫は、新型コロナウイルスを自宅に持ち込みたくないという理由から、病院が用意した寮で寝泊まり。この4カ月ほど、まったく会えていない状態だそうだ。

 祥恵さんはコロナ禍の日常生活について次のように語る。

「毎日、LINE電話を通して主人とは顔を見ながら会話しています。逆に今まで、こんなに話をしたことあったかな? っていうくらい、家族で会話するようになりました」

 メディアなどを通し、盛んに「医療従事者に感謝をしよう」というムーブメントが起こっていた影響もあり、佳祐君は父親の仕事に関心を持ったとのこと。医師という仕事のやりがいや、新型コロナウイルスとはどのようなものか、これから世界がやるべきことなどを、LINE電話で直接父親に尋ねていたという。

 祥恵さん夫婦が驚いたのは、その翌日に、佳祐君が「ウイルスと細菌、真菌(カビ)の違い」を自力で調べて、そのノートを見せてくれたことだそうだ。

「主人が一番、喜んでいました。『勉強っていうのは、自分が「知りたい! わかりたい!」と望んで行うものだから、それを自発的にやれたことは素晴らしい!』って、佳祐をすごく褒めたんです。多分、面と向かってだったら言えてないかもしれません。画面越しっていうのが、我が家にはすごく良かった気がするんです」

 佳祐君の今の夢は新薬開発の科学者になることだそうだ。目標ができたので、「やるべきことはやる!」と言い、塾が休校の間は“復習”の時間に充てて、苦手分野の課題に取り組み、かなりの手応えを感じるようになったらしい。

「主人も、子どもに会いたくても会えない状況下なので、いつも以上に丁寧に子どもたちの質問に答えています。特に佳祐とは“男同士の話”にみたいに盛り上がることもあって、佳祐はこの数カ月で、より一層、父親を尊敬したみたいです。受験は運もあるので、志望校に合格するかどうかはわかりませんが、このコロナ禍は、我が家にとっては、災い転じてなんとやらで、逆にありがたく思う面もあります」

 この数カ月は、誰にとっても想像を超える大混乱の日々であったが、2人の母の話を聞いて、それにどう対応していくのかも、人それぞれなのだなと感じた。

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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最終更新:2020/06/27 16:00
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